押し入れからビデオ①『ミラクル・マイル』 [押し入れからビデオ]

『ミラクル・マイル』

ミラクルマイル.jpg

まず前置きだけど、俺は財布がバブリーな時にはDVDとか大人買いしまくるんだけど、金欠になってくると、まだ買ったままで、封も開けてないDVDをそのままヤフオクなんかに出してしまうという、典型的な「ダメな人」の購買パターンなんで、コレクションも大して増えないのだ。LDの時からそうなのだ。

だけど、高校生の時に初めてビデオデッキを手にして以来、テレビで録りためた映画に関しては、売買は禁じられてるし、押し入れに段ボールに積まれて、眠ってたりする。
中には、あまり知られてないけど面白い映画なんかもあるんで、これからちょっとずつ蔵出ししてこうと思う。


1本目は『ミラクル・マイル』という、1988年製作の終末パニックドラマ。

人類の進化の過程がモニターで解説されている、ロスアンゼルスの博物館の館内。ジャックはジュリーと出会った。
ジャックはこの街に演奏活動に来ていた楽団員。ジュリーは地元ミラクル・マイルのダイナーのウェイトレス。
その晩、ジュリーのシフト明けに再び会う約束をしながら、ホテル内の停電のせいで、目覚ましがならず、ダイナーに駆けつけたのは、深夜4時。
別のウェイトレスに事情を話し、ジュリーの電話番号を聞き出し、店の外の公衆電話からかけるが、留守電に。
メッセージを吹き込んで切ると、ほどなく公衆電話が鳴った。

ジュリーからか分からぬまま、受話器を取ると、電話の向こうでは、若い男が狼狽えてる。
どうやら父親に電話したつもりらしかった。

「父さん、大変なことになった。あれは間違いだったんだ。」
「でも50分後には秒読みが始まる。もう止められないんだ!」
「すぐに察知されて、報復されるんだ!」
冗談はよせというと、こっちはノースダコタからかけてるんだという。
核ミサイルのサイロがある場所だ。

だが狼狽える電話の声は銃声によって止む。別の男の声で
「すべて忘れて帰って寝ろ」
と言われ電話は切れる。
深夜4時、報復のミサイル到達まで70分。
ジャックはジュリーの住むアパートを目指した。


ジャックを演じてるのは『ER』のグリーン先生ことアンソニー・エドワーズ。まだ髪は健在。
彼の普通の人っぽさが、『トワイライト・ゾーン』の1エピソードっぽい、不条理感を醸し出すことに一役かってる。
ジュリー役には『セント・エルモス・ファイア』なんかに出てたメア・ウィニンガム。
SFチックな題材に合わせようと、思い切りショートにしてるんだが、なんかキンシコウという猿みたいに見えてしまい、これは80年代モードの失敗例だな。
だけど世界の終わりをひと組のカップルにフォーカスしてく作劇は悪くない。

「スーパーマンは石炭を圧縮してダイヤモンドに変えたんだ。
だから僕らの身体にも変化が起こるよ」
「私たち、ダイヤモンドになるのね」
二人の会話が交わされる場面にはグッとくるものがあったよ。

音楽はタンジェリン・ドリーム。フリードキン版『恐怖の報酬』をかわきりに、マイケル・マン監督の
『ザ・クラッカー』『ザ・キープ』の2作、トム・クルーズ主演作で一番ストーリーが面白い『卒業白書』、
ヴァンパイアものの傑作『ニア・ダーク』など、静かに高揚してくるシンセのうねりがたまらない、80年代アメリカ映画を語るには欠かせないコンポーザー集団であり、プログレ・バンド。

映画としてはそれほどのバジェットで作られてないので、細かい部分でのチープさは否めない。
だが映画館で見るには何だが、テレビの深夜にたまたまやってて、見たら
「なに、けっこう面白いじゃん」と得した気分になれそうな感じ。
だから映画のジャンル分けをするなら「拾いもの」というジャンルに属する。

2011年9月17日

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