TIFF2012・8日目『メイジーの知ったこと』 [東京国際映画祭2012]
東京国際映画祭2012
『メイジーの知ったこと』(コンペティション)
今年の「TIFF」では偶然なのか、「母親としてどーなんだよ?」なキャラに出会う。
例えば『風水』や『あかぼし』など。
俺は未見だが韓国映画『未熟な犯罪者』の若い母親も相当難ありだったようだ。
この映画の主人公で7才の少女メイシーの母親を、ジュリアン・ムーアが演じてるんだが、まあこの母親もひどい。
父親の方はましなのかといえば、どっちもどっちで、これは「親バカ」ではなく「バカ親」の映画だった。
映画の展開を見てると、フランス映画にありそうな感覚なんだが、原作は「ねじの回転」で有名なヘンリー・ジェームズ。
100年以上前に書かれた小説のプロットを、現代ニューヨークに移し変えて、なんの違和感もない。
ニューヨークの高級アパートメントに暮らすメイジー。
母親スザンナはロックシンガーで、父親ビールは名うての美術商だ。
だが互いに忙しい上に、なんで結婚したのかわからない位に性格が合わないらしく、口喧嘩が絶えない。
メイジーは若く美人のベビーシッター、マーゴとの時間に、親に構ってもらえない淋しさを紛らわす。
ジュリアン・ムーアがロックシンガーってのも、凄いというか無茶というか、曲を聴いた感じでは、コートニー・ラヴあたりの線を出そうとしてるようだった。
この両親は離婚の協議に入ることになり、親権を争う裁判で、父親ビールが優勢な立場となる。
母親スザンナはそのことに苛立って、周りに当り散らす。
メイジーはそういう所も真近に見てる。
とりあえず10日間ずつ、互いの間でメイジーを引き取るということになるが、もともと女関係が緩いビールは、いつの間にかベビーシッターのマーゴを口説き落としてた。
父親の住まいに連れて行かれたメイジーは、ドアの向こうにマーゴが立ってたことに「なんで?」と思う。
ビールは親権を確実なものにしようと、マーゴと籍を入れてしまったのだ。
それを知って激怒したスザンナは、それならと、いつもアパートメントでパーティを開く時に呼んでいる、地元のバーテンダーのリンカーンに、気のある振りをして誘い、強引に結婚に及ぶ。
マーゴとリンカーンの若い二人は、どちらもメイジーのことを可愛がったが、否応なしに親権争いに巻き込まれたことには困惑を隠せない。
スザンナはマーゴを夫だけでなく娘も奪おうとする「泥棒猫」扱いして罵倒し、
ビールは「あんなバーテンに娘を任せられるか!」
と身分差別まるだしだ。
その両親のエゴしかない諍いの一部始終も、メイジーの幼い瞳は見つめてる。
このメイジーという女の子は、とても大人しい子で、親に向かって不満をぶつけるような物言いもない。
だけどな、こういう大人しい健気な子ほど、思春期になった時に、内に抱えててたストレスが爆発して、思いっきりグレたりするぞ。
互いにスザンナとビールにコケにされたような、若いマーゴとリンカーンは、間に挟まれたメイジーが不憫との思いもあり、一緒に過ごす時間が増えてくる。
互いの気持ちも近くなり、二人はメイジーの「代理親」になることを考え始めていく。
リンカーンを演じるアレキサンダー・スカルスガルドは、『メランコリア』『バトル・シップ』に続いて今年3本目という売れっ子ぶり。
彼の繊細さを感じさせる個性が、この役に合っていて、幼いメイジーがすぐに懐くのも納得できる。
メイジーを演じたオナタ・アプリールという少女は、オーディションで見出されたそうだが、もう全編出づっぱりで、親たちの愚かさを静かに見つめる瞳が切なくさせる。
過剰な演技をさせてないのがいい。
2012年10月30日
『メイジーの知ったこと』(コンペティション)
今年の「TIFF」では偶然なのか、「母親としてどーなんだよ?」なキャラに出会う。
例えば『風水』や『あかぼし』など。
俺は未見だが韓国映画『未熟な犯罪者』の若い母親も相当難ありだったようだ。
この映画の主人公で7才の少女メイシーの母親を、ジュリアン・ムーアが演じてるんだが、まあこの母親もひどい。
父親の方はましなのかといえば、どっちもどっちで、これは「親バカ」ではなく「バカ親」の映画だった。
映画の展開を見てると、フランス映画にありそうな感覚なんだが、原作は「ねじの回転」で有名なヘンリー・ジェームズ。
100年以上前に書かれた小説のプロットを、現代ニューヨークに移し変えて、なんの違和感もない。
ニューヨークの高級アパートメントに暮らすメイジー。
母親スザンナはロックシンガーで、父親ビールは名うての美術商だ。
だが互いに忙しい上に、なんで結婚したのかわからない位に性格が合わないらしく、口喧嘩が絶えない。
メイジーは若く美人のベビーシッター、マーゴとの時間に、親に構ってもらえない淋しさを紛らわす。
ジュリアン・ムーアがロックシンガーってのも、凄いというか無茶というか、曲を聴いた感じでは、コートニー・ラヴあたりの線を出そうとしてるようだった。
この両親は離婚の協議に入ることになり、親権を争う裁判で、父親ビールが優勢な立場となる。
母親スザンナはそのことに苛立って、周りに当り散らす。
メイジーはそういう所も真近に見てる。
とりあえず10日間ずつ、互いの間でメイジーを引き取るということになるが、もともと女関係が緩いビールは、いつの間にかベビーシッターのマーゴを口説き落としてた。
父親の住まいに連れて行かれたメイジーは、ドアの向こうにマーゴが立ってたことに「なんで?」と思う。
ビールは親権を確実なものにしようと、マーゴと籍を入れてしまったのだ。
それを知って激怒したスザンナは、それならと、いつもアパートメントでパーティを開く時に呼んでいる、地元のバーテンダーのリンカーンに、気のある振りをして誘い、強引に結婚に及ぶ。
マーゴとリンカーンの若い二人は、どちらもメイジーのことを可愛がったが、否応なしに親権争いに巻き込まれたことには困惑を隠せない。
スザンナはマーゴを夫だけでなく娘も奪おうとする「泥棒猫」扱いして罵倒し、
ビールは「あんなバーテンに娘を任せられるか!」
と身分差別まるだしだ。
その両親のエゴしかない諍いの一部始終も、メイジーの幼い瞳は見つめてる。
このメイジーという女の子は、とても大人しい子で、親に向かって不満をぶつけるような物言いもない。
だけどな、こういう大人しい健気な子ほど、思春期になった時に、内に抱えててたストレスが爆発して、思いっきりグレたりするぞ。
互いにスザンナとビールにコケにされたような、若いマーゴとリンカーンは、間に挟まれたメイジーが不憫との思いもあり、一緒に過ごす時間が増えてくる。
互いの気持ちも近くなり、二人はメイジーの「代理親」になることを考え始めていく。
リンカーンを演じるアレキサンダー・スカルスガルドは、『メランコリア』『バトル・シップ』に続いて今年3本目という売れっ子ぶり。
彼の繊細さを感じさせる個性が、この役に合っていて、幼いメイジーがすぐに懐くのも納得できる。
メイジーを演じたオナタ・アプリールという少女は、オーディションで見出されたそうだが、もう全編出づっぱりで、親たちの愚かさを静かに見つめる瞳が切なくさせる。
過剰な演技をさせてないのがいい。
2012年10月30日
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