宇宙人ロードムービーで笑い納め [映画ア行]

『宇宙人ポール』

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サイモン・ペッグとニック・フロストの名コンビが、『ゾンビ』『ハート・ブルー』に続いてリスペクト捧げるのは、ずばりスピルバーグ映画。
『未知との遭遇』や『E.T.』を見て宇宙人との交流に胸躍らせた、あの少年の頃と同じ気持ちで、大人になっても、宇宙人と接することはできるだろうか?この映画のテーマはそこんとこにあるんじゃなかろか。


だからまず主人公の二人はSFオタク。オタク高じてクライヴはSF作家に、親友のグレアムはクライヴの本を飾るイラストレーターになってる。

イギリス人の二人が念願かなって、サンディエゴで開催されるオタクの祭典「コミコン」に参加し、ホテルで1泊した翌日には、レンタカーでエリア51など、UFOゆかりの地を巡る計画。
コメディ仕立ての映画の場合、オタクは自嘲気味に描かれたり、デフォルメして笑いのネタになったりするけど、この映画にはそういう変にへりくだった臭みがない。憧れの場所に来れたという素直なワクワク感が演出されてて気持ちがいいのだ。
二人は一般の尺度からするとダメな所もあるんだが、でも本人たちが幸せならそれでいいじゃないかって眼差しだね。


そんな二人が運転するRVの前を行くセダンが突如横転し、様子を見に近づいたら、宇宙人がいたというね。
いわゆる「ロズウェル型」の一番写真でよく見かけるルックスと体つき。
だがいきなり流暢な英語をしゃべるし、名前はポールだと言うし、タバコ吸うし、結構毒舌で下ネタもキツいし、グレアムはすぐに打ち解けたが、クライヴは気に入らない。
「こいつフランクすぎるぞ」姿形は完璧なのに、宇宙人ぽさが皆無。
「故郷に帰る手助けしてほしい」ってE.T.と同じ境遇なのに、E.T.みたいなピュアさに欠けるんだな。

だが地球人にはない能力を持ってる。息をとめてる間はプレデターみたいにステルス機能が働いたり、RVのフロントガラスに激突して死んだ鳥を蘇生できたり。ここは爆笑のオチがつくけど。
セス・ローゲンが声をつけてる、このポールのキャラが決まった時点で、半分成功したも同然。
ポールは60年前にワイオミング州の民家の庭先に墜落。政府に捕獲され、ようやく脱走できたという。
ただ捕まってたわけじゃない。『E.T.』の物語の着想を映画監督に、電話で教えてやったりしてる。電話の声がスピルバーグ本人なのも可笑しい。

もちろん脱走に気づいた政府機関から追っ手が迫る。行きがかり上、泊まったモーテルの娘ルースも逃亡の道連れに。キリスト教原理主義者の父親に育てられた彼女は、ポールを目の前にしても、宇宙人は認めない。
だがクライヴもルースも、宇宙人ポールが持ってたマリファナでハイになって、打ち解けるようになったのだ。よかったよかった。
ポールはどこを目指してるのか?そりゃワイオミングのあの山でしょ。

60年前、墜落した民家を訪ねると、あの時遭遇した少女は、まだ同じ家に住んでいた。演じてるのはブライス・ダナー。SFで言うと、ピーター・フォンダ主演の『未来世界』に出てたね。
でもここは『未知との遭遇』の坊やが宇宙船にさらわれる、あの場面を模してたんだし、メリンダ・ディロンが演じてくれたら尚よかった。
ポールを追う政府組織のボス「ビッグ・ガイ」は、名前はガイでも女性なのだ。最後に顔を現すが「ああ、この人しかいないよな、この役には」という納得の登場。しかもあの名セリフを逆に吐かれて、殴り倒されてるし。


『ドント・ブレイク・ミー・ダウン』と『ロッキン・オール・オーバー・ザ・ワールド』と、ELOの2曲もいいとこで使われてる。ELOといえば『アウト・オブ・ザ・ブルー』のUFOをモチーフにしたアルバム・カバーで有名。
『ギャラクシー・クエスト』は俺大好きだけど、あの映画が好きなら、迷わず見て正解。
豊洲のシネコンで見たが、ほぼ満席だったのがビックリ。

2011年12月25日

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