追補版・『午後十時の映画祭』(70年代編) [「午後十時の映画祭」]

この映画が観たい『午後十時の映画祭』追補タイトル

映画ファンの間に大きな話題を呼んでるツタヤのDVDオンデマンド販売のタイトルだが、俺の『午前十時の映画祭』50本(70年代編)で選んだ作品の中から、4本が販売になるというんで、リストの入れ替えをしようと思う。販売されるのは
『おかしなおかしな大冒険』『激走!5000キロ』『ストレート・タイム』『狙撃者』とのこと。

いやしかしすごい時代になったもんだな。ていうかツタヤえらい!
新たに俺のリストに加えるのは以下の4本。



『怪盗軍団』(1975)イギリス 
監督ピーター・デュフェル 主演テリー・サバラス、ロバート・カルプ

怪盗軍団.jpg

ナチスが隠した金塊を巡るミステリーとしては、1979年の『ブラス・ターゲット』が、ツタヤのオンデマンド販売が決定していて、喜んでる映画ファンも多いんだが、俺はあの映画はある一点で台無しになってる「残念」な映画と思ってる。
それはソフィア・ローレンがしゃしゃり出てくるという所だ。
このイタリアの大女優に言うのも何だが、この人は70年代になぜかアクション映画に顔を出したがるようになり、『カサンドラ・クロス』『リベンジャー』そして『ブラス・ターゲット』ときて、当時のアクション映画好きにしてみたら「またあんたか!」とゲンナリだったのだ。俺だけじゃないよ、そう思ってたのは。
特に『ブラス・ターゲット』はジョン・カサヴェテス、パトリック・マクグーハンにマックス・フォン・シドーという悶絶ものの渋いメンツが揃ってるのに、なんでそこに出てくるかなと。

だもんで、『怪盗軍団』を推すわけだ。こっちも「刑事コジャック」と「アイ・スパイ」と+ジェームズ・メイスンという、渋さでは引けを取らないメンツだし、おばさんも出てこない。

第2次大戦下のベルリンで、1台のドイツ軍のトラックが、親衛隊の服を着た男たちに強奪された。トラックには西ドイツ国立銀行に輸送する途中の、600万ドル分の金塊が積まれていた。
その行方がわからぬまま時代は現代へ。
その強奪に係ったと目される元ドイツ軍高級将校が、軍刑務所で戦犯として今も収容されてるとの情報を得て、戦時中に捕虜収容所の司令官と、捕虜の間柄だった男たちが動き出す。
その将校を脱走させ、薬により意識を混濁させる。ドイツ軍の総司令部のセットを作り、偽のヒトラー総統を登場させ、将校に戦時中と錯覚させて、金塊の在り処を聞き出す計画だった。
「ひと芝居打つ」っていうネタは楽しい。しかもその後にも「もうひと芝居打つ」展開が待ってる。
テレビ放映はされてると思うけど、ビデオ・DVD化はされてない。
ワーナーなんで、ツタヤに期待はできるけど。



『ザ・ファミリー』(1973)アメリカ 
監督リチャード・フライシャー 主演フレデリック・フォレスト、アンソニー・クイン

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まあとにかく『ゴッドファーザー』が世界中で大ヒットしたもんで、マフィア映画ブームというのが到来するわけだ、この時代。ほとんどイタリア製ではあったが。そんな中、ハリウッドが製作した1本がこれ。
フレデリック・フォレストはこの年、フランシス・コッポラ監督の『カンバーセーション…盗聴』で、ジーン・ハックマンの盗聴対象となってたが、大きな役ではないし、それがこの映画では初の主演を張るわけだから、これは大抜擢といっていいだろう。
線の細いインテリという風貌の彼を、マフィアの幹部にあてるという配役も大胆だ。頭に血がのぼったら、すぐに銃を乱射するという、ステレオタイプなマフィアではなく、流れを冷静に読む、切れ者のイメージが主人公に求められてたんだろう。
マフィアの有力な組織のボスが死んだことで、その組織の相続を巡る、三つ巴の争いの火ぶたが切られるという筋立て。
アンソニー・クインは、相続を担う組織のボス役でさすがの貫禄。ロバート・フォスターやアル・レッティエリなどキャストもいい顔が揃ってる。

リチャード・フライシャー監督の演出にも切れがある。この監督は70年代前半までは、ジャンルを問わず、見ごたえある映画を連打してたが、それ以降目に見えて力が落ちていった印象がある。
ジェリー・ゴールドスミスの音楽もまた聴きたいな。
ビデオは昔出てたが、DVDは出てない。



『さらば青春の日』(1971)アメリカ 
監督スチュアート・ハグマン 主演ジャクリーン・ビセット、マイケル・サラザン

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『おかしなおかしな大冒険』がオンデマンドDVDで見れるということになったのなら、ジャクリーン・ビセットでまだ見たことないこの作品を。
当時つきあってたマイケル・サラザンとは、1968年の『甘い暴走』に続く共演。

マイケル・サラザンは病院のインターンで子供好きの優しい性格の青年。ビセットは友達の医師の妹で、子供向けの本の編集をしてる。互いに子供好きということで気が合い、つきあうようになるが、サラザンが心を通わせてた患者の少年が亡くなり、そのショックから、病院に保管されてる興奮剤を持ち出して服用する。
それは次第に麻薬の服用へとなり、宿直をサボったせいで出産直後の双子が死に、病院をクビになる。
麻薬業者への借金も膨らんでいた。
ビセットは彼の気持ちが離れてくのを恐れ、自分もまた麻薬に手を出してしまう。とのこと。

先頃『いちご白書』がリバイバル公開されたスチュアート・ハグマン監督が、とことん麻薬でボロボロになってくカップルを見つめてるようだ。1973年にアル・パチーノが主演した『哀しみの街かど』も、同じような内容のラブストーリーだった。
ジャクリーン・ビセットがボロボロになってく姿は、あまり見たくないが、こういう役も珍しいので、貴重な映画ではある。ビデオ・DVD化はされてない。



『スーパーコップス』(1974)アメリカ 
監督ゴードン・パークス 主演ロン・リーヴマン

スーパーコップス.jpg

「ニューヨーク市警のバットマンとロビン」と呼ばれた実在の警官コンビの活躍を描いたアクション。
これは当時一応劇場公開という形にはなってるんだが、単独で上映されたのではなかった。

1970年代には地方ではロードショーも2本立てが主流だったが、東京都内においても、新作を2本立てでかける興行形態があったのだ。メジャーな作品ではなく、配給会社が大作なんかと抱き合わせに買わされたような映画を、2本組んでそういったチェーンに流していた。
俺もどっかで見てるんだが、どこで見たのかが思い出せない。
その後テレビでやった形跡もないし、ビデオもDVDも出てない。
でも話は面白かったんだよ。

主人公の二人はニューヨーク市警の研修生で、早く犯罪捜査とか、犯人検挙とかしたいのに、交通整理みたいなことばかりやらされてる。偶然に無差別発砲犯を捕まえるが、褒められるどころか、持ち場を離れたと教官から叱責される。
頭にきた二人は、実績を積んでやろうと、勤務時間外の夜間にガンガン犯罪者の摘発を行ってく。
その行為は次第に町の話題となり、逆に研修生たちの方が仕事をしてると、刑事たちへの世間の風当たりがきつくなる。
研修も終わり、ブルックリンで最も治安の悪い地区の分署に配属されるが、そこでも刑事たちには目の仇に。だがいっこうにひるむ様子もなく、ふたりは町を牛耳る麻薬組織の兄弟検挙に猛進してく。

『ホットロック』『スローターハウス5』と、脇役で目を引くようになったロン・リーヴマンが初の主演。あの鋭い目つきと鷲っ鼻が、猪突猛進の警官キャラに合ってた。
監督は『黒いジャガー』のゴードン・パークス。黒人監督ならではというか、黒人居住地区でのロケも生々しく、「70年代ニューヨーク」の現場感が充満してた。
音楽は70年代前半が最高潮期だったジェリー・フィールディングだからして。

2012年1月24日

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