兄弟喧嘩は家でやれ、ソーとロキ [映画ア行]

『アベンジャーズ』

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今更ここで書くまでもないが、もしこれから見に行くという人がいれば、声を大にして言っとくが
「エンドロールの途中で席を立たないように!」

俺も今までいろんな映画で、エンドロール明けの「おまけショット」を見て来たが、こんな最高なのはなかった。もし『アベンジャーズ』をもう見たという人で、エンドロール途中で出てしまったとすれば、それは痛恨のミスである。

俺はアメコミ系のファンというわけじゃないが、こういう「チームもの」は好きなのだ。
『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』は2回見に行った。
この映画も、巷では「前半がたるい」と言われてるが、俺はこの一人づつ、見栄を切って登場してくるって感じが『七人の侍』パターンでテンション上がるんで、むしろ前半から楽しめた。

ヒーローたちがなんだかんだ言いながら、結束して、地球侵略を目論む悪の軍団と、ニューヨークで一大バトルを繰り広げる、言ってみればそれだけの話だ。

俺は『マイティ・ソー』を見てたが、あのソーとロキの兄弟の確執が、こんな大騒動の発端となってるんで、『マイティ・ソー』は見ておくといいと思う。


地球防衛本部みたいな「シールド」の基地を急襲し、地球を破壊する力を持つ「四次元キューブ」を奪い去ったのがロキ。
そのロキをドイツで、アイアンマンとキャプテン・アメリカとブラック・ウィドーの3人が、拘束に成功し、「空飛ぶ空母」ヘリキャリア船内にある、「シールド本部」に連行するわけだ。

その輸送機の中で、雷鳴を聞いたロキの顔色が変わる。
「雷が怖いのか?」
「鳴った後が問題なんだよ」
次の瞬間、衝撃とともにソーが飛来し、「家族の問題なんで」って感じで、開いた輸送機を扉から、
ロキを抱えて連れ去ってしまう。
みんな「えっ?」
このソーの登場場面がウケた。

キャストとしては、このロキを演じたトム・ヒドルストンが儲け役だ。
なにしろ並みいるヒーローたち相手に、ひとりで悪玉をしょって立ってるんだから。
ジャンルは全然ちがうが、今年春に公開された『ヘルプ 心がつながるストーリー』で、鼻持ちならない白人女を演じたブライス・ダラス=ハワードの、孤軍奮闘ぶりを思わせた。

神々の国アスガルドで、義兄のソーに、王位継承を阻まれたロキは、いわばその私怨から、ソーが守る地球をぶっ壊してやると気負ってるわけだ。
理由がそんなんだから、「シールド」のエージェント、クラークから
「お前には信念がない」と喝破される。

ハルクには「俺はお前みたいな野獣とちがって、高貴な身なん…」
と言い終わる前に「ベッタン!ベッタン!」やられてるし。
いやーロキ、いいよ。

相手が神だろうが何だろうが、どつき倒す「ハルク無双」ということがはっきりしたね、この映画で。

超人たちに混じって、普通の人間ブラック・ウィドーを演じるスカーレット・ヨハンソンの頑張りも目立った。もう途中から超人もどきの活躍し始めるのは笑った。


『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』では敵方もキャラが立っていて、それぞれが得意の能力で、X-MENたちと渡り合うのが見応えあったが、この『アベンジャーズ』の場合は、ロキに率いられた軍団が、ただ物量で攻めてくるだけで、「顔」がないんで、そのあたりは「雌雄を決してる」感じが希薄で物足りない。
シリーズ化するんだろうから、次回はキャラの立った強敵を出してほしい。

まあしかしやっつけてもやっつけても、後から湧いてくるロキ軍団と戦い尽くしての、あの「おまけショット」である。
「そりゃ超人だって疲れるよな」という。

あのショットは何と言ってもロバート・ダウニー・Jrの表情だ。セリフはひと言もない。
あそこにはチーム全員が揃ってたが、ダウニー・Jrでなければ、あの表情は作れなかっただろう。
俺はずっと笑ってた。

欽ちゃんの仮装大賞でいえば、合格ラインまであと1点という所までランプが灯り、一拍おいてもう1点入った。そのくらい重みのある「追加点」となってるのだ。


有名キャラを一同に集めて活躍させれば、映画は大ヒットするかといえば、そんな保証はないことは、ショーン・コネリー主演の『リーグ・オブ・レジェンド』の大失敗が過去に物語ってる。

ショーン・コネリーといえば、奇しくも同名のスパイアクション『アベンジャーズ』もコケていて、この大作2本の興行的失敗が、俳優引退を決意させたとも言われてる。

こっちの『アベンジャーズ』はいい塩梅で各キャラを描きわけており、グラフィック・ノベル・ヒーローものに描かれがちな、葛藤とか宿命とか、そういう重たい部分をとっぱらって、笑いとばして大暴れさせてるのが、成功の要因かな。
「元気があってよろしい」というに尽きる。

昨日『プロメテウス』で長々と書きすぎたんで、今日はこの位で勘弁してやるって感じだが、最後にトリビアめいたネタを。

映画の中で、地上に落下したハルクを、倉庫の瓦礫の中で発見する老人を演じてるのが、
『パリ、テキサス』などの名優ハリー・ディーン・スタントン。
ニューヨークへの核ミサイル攻撃を命令する「お偉いさん」を演じて、モニター画面の中だけで登場するのがパワーズ・ブース。
この二人は1984年のジョン・ミリアス監督作『若き勇者たち』で脇役として共演してる。

その『若き勇者たち』はリメイク版が完成しており、その主演が「ソー」を演じるクリス・ヘムズワースなのだ。

2012年9月2日

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안전놀이터

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by 안전놀이터 (2023-09-15 16:23) 

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