アレック・ボールドウィンと飛行機の因縁 [映画ハ行]

『ヘヴンズ・プリズナー』

ヘブンズ・プリズナー.jpg

今日、映画サイトのニュース見てたら、アレック・ボールドウィンが、アメリカン航空の機内で、離陸時にも関わらず、ケータイのオンライン・ゲームをやり続け、乗務員に暴言をはいたあげくに、機から降ろされたと出てた。ひと言いいかな?
「子供か!」

そんなことなんで、「アレック・ボールドウィン搭乗拒否られ記念」として、彼の主演作としては、かなりマシな部類に入る『ヘヴンズ・プリズナー』のコメントに急遽変更。
なんでこの映画を選んだかというと、軽飛行機が墜落するところから物語が動き出すという「飛行機つながり」ね。
それでいうとアレックがアンソニー・ホプキンスと共演した『ザ・ワイルド』もそういう出だしだったな。それよりなにより、これは主演じゃないけど、ディカプリオの『アビエーター』では、なんとあのパンナム(パン・アメリカン航空)の創業者ホアン・トリップを演じてもいるんだよ。
なんだ飛行機に縁があるじゃないかアレック。

この『ヘヴンズ・プリズナー』は、ベストセラー・ハードボイルド小説を映画化した1996年作。主人公は元ニューオリンズ警察の殺人課刑事デイヴ・ロビショー。
小説はシリーズされており、2009年には2本目の映画化になる『エレクトリック・ミスト 霧の捜査線』が、トミー・リー・ジョーンズ主演で作られた。今年になってDVDスルーで発売された。2本を続けて見ると、設定のつながりがわかって面白い。
『ヘヴンズ・プリズナー』でロビショーが引き取って育てることにした少女アラフェアはヒスパニック系だったが、『エレクトリック・ミスト…』では白人の女の子に変わってる。彼女の成長の具合から見て、5年後位の話なんだと思うが、それにしちゃ、96年のアレック・ボールドウィンから、09年のトミー・リー・ジョーンズでは、年齢の開きがありすぎるね。
ロビショーが急に老けちゃった感じだったよ。


リンダ・ロンシュタッドの『ブルー・バイユー』でも歌われてる、ルイジアナのバイユーと呼ばれる湿地帯で、貸しボート屋を営むロビショーは、アルコール依存症から刑事の職を辞し、以来3年に渡り断酒を続けている。
ある昼下がり、妻のアニーと湖水のボートで寛いでると、小型飛行機が彼らの上をかすめ飛び、そのまま湖面に墜落した。ロビショーは酸素ボンベを背負い、湖底に沈んだ機体の内部へ。胸に刺青のある男の死体、その他の乗員も死んでいる。だが尾翼の方にまだ水が入ってこない空間があり、そこに幼い女の子が、奇跡的に生きていた。少女はヒスパニック系でアラフェアと名乗った。

事故から間もなく、麻薬捜査官がロビショーの家に来る。刺青の男は潜入捜査官で、正体がバレて消された可能性が高い。そして小型飛行機を使った密入国を行ってたとも。
「子供の服が見つかってるが、子供の死体はあがってない」
妻のアニーと遊ぶアラフェアを見るとはなしに、
「余計なことに首を突っ込むつもりなら、次は入管の人間と一緒にくるぞ」と釘を刺す。

子供がいないこともあり、妻のアニーはアラフェアを可愛がった。だがロビショーは、刑事の性分が抑えられない。飛行機を墜落させた黒幕は誰なのか?湖底の飛行機から遺留品を探し出し、マッチに書かれたストリップバーを訪れる。そこには顔なじみのストリッパーのロビンがいて、彼女の口から、ロビショーの幼なじみで、今は地元で麻薬組織を動かしてるババ・ロックの名前が出る。
だがこのとこがすぐに伝わったのか、ロビショーは二人組の殺し屋に脅迫され、股間に警告のひと蹴りを食らう。

アニーはそんな夫の行動に不安を募らせていた。なぜ刑事を辞めた身で、しかも自分たちとは関係のない事件にこだわるのか。そしてアニーの不安は現実のものとなった。
雨の夜、ロビショーがボートの様子を見に行くと、複数の黒い影が家の玄関に迫っていた。必死で駆け戻るロビショーの視界に、寝室の閃光と、銃弾の音が鳴り響いた。ロビショーが銃を取った時、男たちは逃げ去った後だった。ロビショーは変わり果てた妻を抱きかかえながら慟哭するしかなかった。

妻を殺した犯人と、殺しを依頼した黒幕への怒りに衝き動かされるロビショーの行動を、熱く演じる後半のアレック・ボールドウィンのアクションがいい。自分を脅迫した殺し屋の片割れを、ニューオリンズの安アパートの屋根づたいに追跡、路上をなおも追い続け、路面電車に逃げこんで、乗客を蹴散らしながら、運転手をも殴りつける殺し屋に、後ろから銃を突きつけ
「さあ、どうする?」
すると乗客から「撃ち殺せ!」の大コール。
これ『ダーティハリー4』でも似たような場面あったね。直後に路面電車と車が衝突という、たたみ掛けるアクション演出は見もの。

しかしロビショーの怒りもわかるが、彼も脇が甘いというか、もう脅迫受けてる時点で、家族にも危害が及ぶかもしれないんだから、妻と女の子はどこかに避難させとくとかすればねえ。自分から首つっこんだせいで、奥さん殺されちゃうんだから。
その辺りのクールにキメてるんだけど、どこか抜けてる感じが、アレック・ボールドウィンならではなのかも知れないが。

映画のラスト、事件のすべてにケリをつけて、それでも妻が戻らないことの虚しさを抱えたまま自宅に戻る。アニー亡きあと、代わりにアラフェアの面倒を見てくれてたロビンも、置き手紙を残して去り、アラフェアが寝息をたてるベッドに身を横たえるロビショー。
寝返りを打った少女の小さな体が、腕に巻きついて、我に返ったように感情が込み上げてくる。
このエンディングが余韻を残していいんだよね。
これをそっくり再現してたのが韓国映画『チェイサー』のエンディングだった。


この映画の監督は、ショーン・ペン、ゲイリー・オールドマン、エド・ハリスという、凄まじい顔ぶれを捌いた『ステート・オブ・グレース』で名を上げたフィル・ジョアノー。
最近きかないけど、また犯罪ドラマを手がけてほしいもんだ。
あとテリー・ハッチャーがいきなりバルコニー越しにオールヌードで登場するよ。
『恋の罪』の水野美紀てきな「つかみ」ヌードだね。

2011年12月10日

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