オリヴィア・ハッセー幻の主演作 [映画ア行]
『青い騒音』
1968年『ロミオとジュリエット』でセンセーションを巻き起こしたオリヴィア・ハッセーが、その次に選んだのが、30代の妻子ある男との不倫ドラマ。
この映画は昔、芳賀書店から出てたオリヴィア・ハッセーの「シネアルバム」で、日本未公開の出演作として、原題直訳の「すべて正しい雑音」としてスチールが載ってた。
彼女が主役ではあるんだが、描写としては不倫相手の30男の家庭などの方に重きが置かれている。日本人から見れば、役の上での年齢が15才というオリヴィアが、なんであんなオヤジに惚れちゃうかなと思うが、相手役のトム・ベルは、見た目マイケル・クロフォードやデヴィッド・ワーナーなどに似てて、つまりはイギリス人にウケる顔なんだね。
電気技師のレンは女優の妻ジョイと共働き。妻の出るドラマの照明もやったりするが、掛け持ちでミュージカル劇団の舞台照明も担当してる。そこでキャストの一人の若い女優ヴァルと、仕事帰りが一緒になる。
パブに誘って一杯やり、地下鉄で彼女が両親と住む町まで送っていく。
車内で話こむうち、すっかり打ち解ける。ヴァルは自分よりずっと年上のレンに好意を抱いてるようだ。
彼女が近道に使うという公園の暗い道を抜け、夜の明かりも乏しい公園の緑の上で、二人は口づけを交わす。
次に会った日、ヴァルは女子高生のような制服を着てた。彼女は演劇学校に通ってるといい、まだ15才だった。
さすがにレンは無理と思ったが、ヴァルは積極的だった。
ミュージカル劇団がイギリス各地を公演することになり、レンも同行することに。妻のジョイは同じ時期にCMの撮影のため、マルタ島へ行くという。まだ小さな子供二人は妻の母親に預けた。
レンは公演の旅の途中で、ヴァルを伴い、誰もいない自宅に戻って、ふたりは夫婦のベッドで愛し合う。
しばらく経って、ヴァルはレンに生理が来ないことを告げる。
展開はありがちな不倫ものだ。オリヴィア・ハッセーはキスシーンのほかは、際どい描写もなく、アイドル映画の範疇としても問題ない。撮影時18才だが、とにかく笑顔が可愛いね。瞳はグリーンなのに黒髪というのが、海外の女優には他にいそうもないし、日本人に人気が出るのもわかる。
この映画、不倫がばれて修羅場になって、二人が痛恨の思いを胸に別れるという展開にならない。
レンは不倫してても、妻にもベッドで優しく接していて、子供も可愛がってる。不倫への後ろめたさからだろうが、家族を海に連れ出す休暇の描写もある。
だが自分の家に連れ込んで、夫婦のベッドを使うというのはねえ。
いやそういうの絶対わかるから。
と思いつつ見てたが、ヴァルの妊娠も気のせいと分かり、一度は関係を清算しようと思ってたレンも微妙な心持ちになる。
このまま結局ふたりは続くのか。
家族でリビングでテレビを見てると、妻のジョイが出たCMが流れた。ジョイは髪はショートなんだが、CMではロングのカツラをつけてる。レイは何気なく
「ロングもいいな、伸ばしてみろよ」と言う。
今まで夫がそんなこと言ったことないので、妻はちょっと意外に思った。レイはその時、ヴァルの長い黒髪を思い描いてたのは間違いない。
「なんか飲み物でも作ろう」と夫がキッチンに行く。
妻のジョイは、上の娘がなにか髪にはめてるのを見る。
それは見覚えのない髪どめだった。
「これどうしたの?」
「おちてた」
妻は子供を寝かしつけ、キッチンに。
「髪をのばすと言っても簡単には伸びないわよ」
「いいさ、人生は長いんだ」
映画はここで終わる。
終わるのか?こええええええー!
わりとありきたりで、ドロ沼にならない、不倫ドラマと思って見終わるところだったんで、この先、妻がどう出るのか、想像しただけで冷えるわ。
オリヴィアの女優仲間で、まだ無名のレスリー=アン・ダウンが出てる。セリフも二言三言しかないし、アップで映る場面がないのが残念。
しかし役の上ではオリヴィアより年上を演じてるんだが、実際は彼女より3才若い。顔のつくりが大人びてるんだな。彼女が脚光浴びるのは1976年の『ピンクパンサー3』のヒロイン役で、22才だった。70年代後半を代表するゴージャス・ビューティだったね。
映画の中に流れる挿入歌はメラニーによるもの。
メラニーは1971年に『心の扉を開けよう』が全米チャート3週連続ナンバー1を記録した、ニューヨーク出身のフォーク・シンガー。リンダ・ロンシュタッドの若い頃に雰囲気が似てるね。この曲は、俺が洋楽を聴き始めた頃に、ラジオでさかんに流れてた。サビの裏声が印象的な「ピクニック・ソング」のような、不思議な浮遊感のある曲だ。
メラニーは1970年のスタンリー・クレイマー監督の日本未公開作『R.P.M.』でも主題歌を歌っていて、日本ではその『悲しみの足音』というシングル盤だけ発売になってる。
この映画のように全編に彼女の歌が聴けるというのは他にないと思うので、ファンは必見だろう。
このDVDは、夜の公園の場面などは暗すぎて何だかわからん状態だったが、他は問題なく見れる。
2012年1月5日
1968年『ロミオとジュリエット』でセンセーションを巻き起こしたオリヴィア・ハッセーが、その次に選んだのが、30代の妻子ある男との不倫ドラマ。
この映画は昔、芳賀書店から出てたオリヴィア・ハッセーの「シネアルバム」で、日本未公開の出演作として、原題直訳の「すべて正しい雑音」としてスチールが載ってた。
彼女が主役ではあるんだが、描写としては不倫相手の30男の家庭などの方に重きが置かれている。日本人から見れば、役の上での年齢が15才というオリヴィアが、なんであんなオヤジに惚れちゃうかなと思うが、相手役のトム・ベルは、見た目マイケル・クロフォードやデヴィッド・ワーナーなどに似てて、つまりはイギリス人にウケる顔なんだね。
電気技師のレンは女優の妻ジョイと共働き。妻の出るドラマの照明もやったりするが、掛け持ちでミュージカル劇団の舞台照明も担当してる。そこでキャストの一人の若い女優ヴァルと、仕事帰りが一緒になる。
パブに誘って一杯やり、地下鉄で彼女が両親と住む町まで送っていく。
車内で話こむうち、すっかり打ち解ける。ヴァルは自分よりずっと年上のレンに好意を抱いてるようだ。
彼女が近道に使うという公園の暗い道を抜け、夜の明かりも乏しい公園の緑の上で、二人は口づけを交わす。
次に会った日、ヴァルは女子高生のような制服を着てた。彼女は演劇学校に通ってるといい、まだ15才だった。
さすがにレンは無理と思ったが、ヴァルは積極的だった。
ミュージカル劇団がイギリス各地を公演することになり、レンも同行することに。妻のジョイは同じ時期にCMの撮影のため、マルタ島へ行くという。まだ小さな子供二人は妻の母親に預けた。
レンは公演の旅の途中で、ヴァルを伴い、誰もいない自宅に戻って、ふたりは夫婦のベッドで愛し合う。
しばらく経って、ヴァルはレンに生理が来ないことを告げる。
展開はありがちな不倫ものだ。オリヴィア・ハッセーはキスシーンのほかは、際どい描写もなく、アイドル映画の範疇としても問題ない。撮影時18才だが、とにかく笑顔が可愛いね。瞳はグリーンなのに黒髪というのが、海外の女優には他にいそうもないし、日本人に人気が出るのもわかる。
この映画、不倫がばれて修羅場になって、二人が痛恨の思いを胸に別れるという展開にならない。
レンは不倫してても、妻にもベッドで優しく接していて、子供も可愛がってる。不倫への後ろめたさからだろうが、家族を海に連れ出す休暇の描写もある。
だが自分の家に連れ込んで、夫婦のベッドを使うというのはねえ。
いやそういうの絶対わかるから。
と思いつつ見てたが、ヴァルの妊娠も気のせいと分かり、一度は関係を清算しようと思ってたレンも微妙な心持ちになる。
このまま結局ふたりは続くのか。
家族でリビングでテレビを見てると、妻のジョイが出たCMが流れた。ジョイは髪はショートなんだが、CMではロングのカツラをつけてる。レイは何気なく
「ロングもいいな、伸ばしてみろよ」と言う。
今まで夫がそんなこと言ったことないので、妻はちょっと意外に思った。レイはその時、ヴァルの長い黒髪を思い描いてたのは間違いない。
「なんか飲み物でも作ろう」と夫がキッチンに行く。
妻のジョイは、上の娘がなにか髪にはめてるのを見る。
それは見覚えのない髪どめだった。
「これどうしたの?」
「おちてた」
妻は子供を寝かしつけ、キッチンに。
「髪をのばすと言っても簡単には伸びないわよ」
「いいさ、人生は長いんだ」
映画はここで終わる。
終わるのか?こええええええー!
わりとありきたりで、ドロ沼にならない、不倫ドラマと思って見終わるところだったんで、この先、妻がどう出るのか、想像しただけで冷えるわ。
オリヴィアの女優仲間で、まだ無名のレスリー=アン・ダウンが出てる。セリフも二言三言しかないし、アップで映る場面がないのが残念。
しかし役の上ではオリヴィアより年上を演じてるんだが、実際は彼女より3才若い。顔のつくりが大人びてるんだな。彼女が脚光浴びるのは1976年の『ピンクパンサー3』のヒロイン役で、22才だった。70年代後半を代表するゴージャス・ビューティだったね。
映画の中に流れる挿入歌はメラニーによるもの。
メラニーは1971年に『心の扉を開けよう』が全米チャート3週連続ナンバー1を記録した、ニューヨーク出身のフォーク・シンガー。リンダ・ロンシュタッドの若い頃に雰囲気が似てるね。この曲は、俺が洋楽を聴き始めた頃に、ラジオでさかんに流れてた。サビの裏声が印象的な「ピクニック・ソング」のような、不思議な浮遊感のある曲だ。
メラニーは1970年のスタンリー・クレイマー監督の日本未公開作『R.P.M.』でも主題歌を歌っていて、日本ではその『悲しみの足音』というシングル盤だけ発売になってる。
この映画のように全編に彼女の歌が聴けるというのは他にないと思うので、ファンは必見だろう。
このDVDは、夜の公園の場面などは暗すぎて何だかわからん状態だったが、他は問題なく見れる。
2012年1月5日
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