TV放映題名は『連続殺人警官』 [映画カ行]

『カリフォルニア・キッド』

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30年前位までは、関東地区では各曜日ごとにテレビの「映画放映枠」というのが、ゴールデンタイムにあった。
正確には火曜日はなかったかも。民放各局で曜日がちがい、それぞれに映画放映前に解説がついた。
日曜日はその先駆けのテレ朝(旧NET)「日曜洋画劇場」で解説は淀川長冶、
月曜日はTBS「月曜ロードショー」で解説は荻昌弘、
水曜日は日テレ「水曜ロードショー」で解説は水野晴朗、
木曜日はテレ東「木曜洋画劇場」で解説は南俊子、
金曜日はフジ「ゴールデン洋画劇場」で解説は高島忠夫、
土曜日は再びテレ朝「土曜映画劇場」で児玉清(その前任者がいたが)となってた。

キングレコードから原題『カリフォルニア・キッド』でDVDリリースされた本作は、「土曜映画劇場」の枠で『連続殺人警官』という題名で放映されてた、1974年のTVムービーだ。
つい最近まで原題でDVDになってたことを知らなかった。よくこんなものまで引っ張ってくるな、さすがキングと思うが、それなら同じ「土曜映画劇場」でやってた『殺人ブルドーザー』もDVDにしちゃってよ。買うかどうかわかんないけどさ。

この映画がDVDになった一番の理由は、出てくる車にある。
主人公マーティン・シーンが運転するのが、34年型のフォード・クーペをホットロッド仕様にカスタマイズしたマシン。ZZ TOPのアルバム『イリミネーター』のジャケになってるヤツ。
『アメリカン・グラフィティ』でポール・ル・マットが乗ってた、レモン色の32年型デュース・クーペ、あれよりデカいエンジンを積んでる。黒の車体にド派手な赤い炎をあしらって、カッコいいね。

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1958年のカリフォルニアの小さな町。橋を越えて34年型フォード・クーペが、町に入ってくる。
すぐに一台のパトカーが現れ、運転する若者は職質を受ける。
「速度を5キロオーバーしたぞ」
「パトカーのホイールのせいだよ」
「なんだって?」
「ホイールがデカいと、メーターに誤差が生じる」
保安官ロイに対して、全く動じてない。若者は署に行き、罰金を払うが、町を出る様子はない。

若者の名はマイケル・マッコードといい、数日前にこの町の州境近くの山道で、カーブを曲がりそこねて転落死した若者と同姓だった。
その州境近くのカーブではすでに7人のドライバーが命を落としていた。その時追跡してたのは、常に保安官ロイの、チューンナップされたパトカーだった。
マイケルは事故地点に車を走らせ、何度も猛スピードでカーブに突っ込んでくが、転落するのは不自然としか思えなかった。

一方、保安官はマイケルがこの町をうろついてるのが気に入らない。保安官ロイは5年前、この町のメインストリートで、妻子をスピード違反の車にひき逃げされていた。犯人は捕まらず、それ以来、スピード違反の車に異常な憎悪を向けるようになってたのだ。
追跡して停まらなければ、州境まで追いつめ、あのカーブの直前で、バンパーに取り付けた鉄製のアームで、後方から追突して転落させる。事故車輌は町の自動車工場に払い下げられ、部品ごとに解体され、証拠も残らないというわけだ。
だがマイケルは事故の真相に迫りつつあり、両者の対決は避けられなくなっていた。


保安官ロイを演じるのはヴィック・モロー。このTVムービーと同じ年の『ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー』でも、ピーター・フォンダたちを執拗に追いつめる警官を演じてた。この時期の彼は悪役として充実してて、前年1973年のやはりTVムービーで、トルーマン・カポーティ原作の『暗黒の檻を暴け』では、看守も手なずける刑務所のドンのような囚人を、ドスを利かせて演じてた。

マーティン・シーンは、丁度テレンス・マリック監督のデビュー作『地獄の逃避行』で主役を張った直後位の時期で、映画会社としては、彼をジェームズ・ディーンのようなイメージで売り出そうとしてたようだ。
この作品でもリーゼントでこそないが、目を細めて見上げて話すみたいな、そういうポーズをつけてる。ただスタイルがいまいちスリムじゃないのと、時代がらなのか、白ジーパンとか履いてるし、何かキメきれてない感じだな。好きな役者なんだけど。
ちなみに冒頭で転落死するドライバーを演じてるのは、彼の双子の弟ジョー・エステベスだ。
自動車工場を経営する若者を演じるニック・ノルティもまだ無名の時代。

DVDの解説では『激突!』を引き合いに出してるが、ああいうサスペンス・アクションとはテイストがちがう。
むしろ西部劇の構造だね。悪役が一方的に恐怖を与えてくるんではなく、逆に余所者の出現によって、心理的にプレッシャーをかけられてく。
ミッシェル・フィリップス演じるカフェの店員は、西部劇でいう、酒場の女という立場だ。
マーティン・シーンのフォードが去ってくのを見送る、さりげない演出も西部劇っぽい。

監督のリチャード・T・ヘフロンはこの頃はTVムービーを撮り続けてたが、後に『未来世界』『アウトロー・ブルース』を経て、『探偵マイク・ハマー/俺が掟だ!』という決定打を叩き出す。

2012年2月14日

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