純正IMAX映画2本を見る [映画ハ行]

『HUBBLE 3D ハッブル宇宙望遠鏡』
『BORN TO BE WILD 3D 野生に生きる』


俺が言う「純正」というのは、デジタルIMAXシアターで上映されてる、ハリウッドの劇映画と区別をつける意味で使ってる。IMAXシアターの巨大スクリーンで上映されることを前提に、専用のIMAXカメラ(通常の映画で使われるカメラより一回り以上大きく、フィルム幅も広い)で撮影された、60分弱の映像作品を指してる。

過去にはCGアニメもあったが、メインとなるのは「ネイチャー・ドキュメンタリー」の分野だ。
俺も以前は高島屋タイムズスクエアや、品川IMAXシアターで、この手の作品を見に出かけてたが、今回久々に、ユナイテッドシネマズと、109シネマズの両シネコンに設置されてるデジタルIMAXシアターで、作品が上映されてるんで、ハシゴしてきた。

場所はユナイテッドシネマズのとしまえんだ。ハシゴするには早い時間しかないのだが、それにしても、両方合わせても、客が10人に満たなかったぞ。気の毒に。
これなんか、小、中学校の視聴覚授業で、館内貸切にでもして見せてやればいいのに。



『HUBBLE 3D ハッブル宇宙望遠鏡』

ハッブル宇宙望遠鏡.jpg

NASAが打ち上げたハッブル宇宙望遠鏡に不具合が見つかったため、スペースシャトルで、船外修理へと向かうミッションを、クルーにIMAXカメラで撮影させたドキュメンタリー作品。
まずシャトル打ち上げの場面を見上げるようなカメラワークで、至近距離から捉えた場面がド迫力。IMAXは音響も半端ないんで、ロケットの轟音がビリビリくる感じだ。
ハッブルをシャトルの台に固定される過程は、3Dの立体感も十分で、アームなどは手を伸ばせば掴めそう。
青白く輝く地球を背景に見るように、ハッブルの修理が続けられる。
アフリカの喜望峰の海岸線がクリアに見えてたりするのは、ちょっと感動的だね。

ただ意外と作業工程そのものは単調で、これはやはり以前にIMAXで見た、スペース・シャトル自体が主役の作品の二番煎じ的な印象は否めない。
それでもこういうものを見ると、10分でもいいから、宇宙に出て、地球を眺めてみたいなあと思ってしまうね。

ハッブル宇宙望遠鏡は今までに数々の銀河の撮影に成功してきてるが、後半はその画像を解析したものを元にして、銀河の中に入っていくようなCG映像を映し出す。
教育映画という側面があるんで、常にナレーションと音楽が被さってくるんだが、この銀河の場面なんかは、むしろ無音でずっと見てたい感じだ。宇宙に音はないわけだし。
3Dで無数の星々が自分の背後に飛んでいく感覚が気持ちいい。



『BORN TO BE WILD 3D 野生に生きる』

ボーントゥビーワイルド.jpg

ボルネオの熱帯雨林で、伐採で住む場所を追われ、親から引き離されたオランウータンの子供を保護し、野生に還す活動を続ける霊長類学者ビルーテ・マリー・ガルディカス博士と、アフリカのサバンナで、密猟などによって、同じように親を失った子ゾウを保護し、野生の群れへと還す活動を続けるデイム・ダフネ・M・シェルドリック、二人の女性が主人公。

シェドリックの名前の最初につく「ディム」とは、英国皇室が授ける称号で、男性における「ナイト」にあたるもの。
彼女の長年の活動が敬意を込めて、評価されてるということ。
彼女はガルディカス博士とはちがい「学者」ではない。子ゾウの置かれた境遇に心を痛め、自分の二人の息子たちと同じように、子供を育てるように接している。サバンナのお母さんだ。

ゾウは動物の中でも、感情の豊かさで知られてるが、子ゾウがシェドリック母さんや飼育員たちに、本当に気を許してる感じが微笑ましい。
連れてこられたばかりの子ゾウは気が立っていて、柱に向かって思い切り頭突き食らわしてきたりして、その迫力は関取以上のものがあるが、夜は中々寝付かず、飼育員にまとわりついて、疲れると横に寝転んで眠ってしまう。飼育員はそっと毛布をかけてやる。ほんと人間の子供と変わらんな。
赤い砂の上を転げ回ったりするのは嬉しそうだ。
シェドリック母さんたちが、子ゾウを野生に還す前に、一種の緩衝地帯というのか、保護区域を設けてるんだが、新しく子ゾウがそこに入ると、大人のゾウたちが迎えに来るかのように、やってくる。本当の親子とか、そういうことに係らず、群れとして子供を受け入れる、ゾウの性質がわかる。

一方、ボルネオのガルディカス博士とオランウータン。こちらはとにかく子ウータンが可愛すぎる。
画面に近い木の枝で横になってる所など、3Dカメラの威力てきめんで、それこそ体毛の生え方までくっきり分かる。
子供の頃から、すでに木の枝の渡り方は熟知してるようで、ゆったりとした、しかし一定のリズム感で、木を渡っていく。しめし合わせたかのように、そのままカメラの手前まで来たり。
博士たちはミルクをやったり、抱いて甘えさせたり、面倒を見はするが、過剰にならないよう気は配ってる。野性を失わせたくないからだ。

森林伐採で住処を追われる他にも、子ウータンがペットとして売り買いされる密猟の現状もある。博士が言うように、オランウータンはペットに適した性分ではない。なので飼ってもすぐ手に余り、保護の依頼がきたりする。
保護に向かった先のウータンは子供というには少し成長が進んでいて、車に乗せようとすると抵抗する。
博士は息子に任せる。
「この子はオランウータンと気持ちが通じるの」
車に乗るのを拒んでたウータンは、息子の背中にしがみ付いてバイクで連れてくことに。
「車は駄目なのにバイクはOKかい」と笑った。

アフリカのサバンナの大地をセスナで飛行する場面もよかったが、3D効果がより実感できたのは、ボルネオの密林を流れる川をボートで行く場面。
水面に近い位置にカメラがあるんだが、自分がヘソから上くらいまで、川の中に浸かってるような感覚になる。
3Dは水の質感と一番相性がいいのかも知れない。

この作品もナレーションとともに音楽が間段なく流れてるんだが、特にサバンナにしろ、密林にしろ、生き物が出す音というのが聞きたいんだよ。

アフリカ物語.jpg

昔、羽仁進監督の『アフリカ物語』を映画館で見たんだが、とにかくサバンナの音が圧倒的だったのを憶えてる。
監督はヘタに音楽などつけずに、「大自然の音こそが音楽なのだ」とわかってたんだと思う。
IMAX映画は親子連れで見ることを想定してるから、音楽を流して楽しさを演出しようということなんだろうが、そこらへんがダサい所なんだよな。

まあしかし、動物見るなら動物園行けばいいじゃないかと思うかも知れないが、動物園ではこれだけ至近距離で動物は見れないよ。旭山動物園のように見せ方に工夫してる所もあるけど、東京から簡単に行ってられないし。

そんなわけで客は少なかったが、なんとか今後もプログラム組んで上映していってほしい。

2012年2月25日

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