「ウンデッド」ってなんなのだ? [映画サ行]

『ゾンビアス』

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ゾンビも今や本家ロメロから「暖簾分け」するように、いろんなバリエーションが登場し、世界に蔓延してるわけだが、「スカゾンビ」(ウンデッドとも呼ぶらしいが)というのは誰もやってないね、さすがに。
スカと言ってもスペシャルズとかの方じゃないよ、「スカッ」として「トロッ」としてる方だよ。

女子高生の恵は、同じ高校に通う妹が女子トイレでいじめに遭ってるのを目撃する。いじめっ子たちは、なぜか瓶に入った巨大なゴキブリを持っており、妹に食わせようとしてる。止めに入ると、
「あんた、いつもお高くとまっててウザいんだよ。
止めてほしけりゃ、みんなの前でオナラしてみろよ」
と言われるが、恥ずかしくて出来ない。そんな姉を見て妹は
「お姉ちゃんはオナラなんかしちゃダメ!」
と、かわりに思いっきりオナラをすると、そのままトイレを駆け出し、体育館の2階から飛び降りて死ぬ。
「私が恥ずかしがったばかりに、プライドを捨てられなかったばかりに…」
恵には妹の死がトラウマとなった。

そんな恵を、先輩の亜矢が気分転換にとキャンプに誘った。亜矢の恋人のタケが運転するワンボックスには、他にモデル志望の乳だけはデカい真希と、虫に詳しい直井が乗ってた。真希は余分な肉を落とすために、寄生虫ダイエットを試みようとしていて、天然の鱒に寄生してるというサナダムシを探しにきたのだ。
そして川で鱒が跳ねるのを見つけると、真希は自分を差し置いて、恵が見事な網さばきで捕らえてしまうのにムカつく。恵は妹の死後、自分が強くならねばと、日夜空手の鍛錬に勤しんでたのだ。
虫に詳しい直井が鱒をさばくと、中から巨大なサナダムシが。
「えっ、こんなにデカかったっけ?」
と思う暇もなく
「貸しなさいよ!」と真希はそれを丸呑みしてしまう。

そんな一行の耳に「コラあ!」と言う声が。森の中からヨロヨロと出てきた男に
「やばい!鱒の漁の解禁日を守らなかったと通報されるかも」
と直井。運転中から薬をキメてたタケは男に「文句あんのか!」と詰め寄ると、いきなり指を噛みちぎられる。
さらに襲いかかる男に、恵はハイキックを一閃。直井は
「クビが変な感じに折れてるぅー!」
と絶叫する。男はなんだったのか?
そんな騒ぎの間に、何者かがワンボックスを奪って逃走。

5人はタケの怪我の治療のために、地図を頼りに近くの村を探す。だが先程ムシを呑み込んだ真希は強烈な腹痛に見舞われ始めた。オナラが止まらない。
すると目の前に小さな集落が。真希はオナラしながら、前屈みで「便所」と書かれた扉を開ける。
そこは今やほとんど見かけなくなった「汲み取り式」だった。
「こんな所でしたくねえ!」
と言いつつも、腹痛に耐え切れず、パンツを下ろしてしゃがみ込む真希。

出るはずのものが中々でないで呻いてる真希の、まさに真下から何かが浮かび上がってきた!
糞尿の中から男の顔が突き出し、その伸ばされた両腕が、真希の尻の肉を鷲掴みにする。
絶叫とともに、便所から逃げ出てくる真希。それを目撃した恵たちの前に、さらなる驚愕の光景が。
依然腹痛が治まらず、危うい足取りで逃げてくる真希の背後から、ゾンビの群れが這い出てきた。
先頭切ってるのは便所にいた糞尿まみれのヤツだった。
真希が捕まりそうだ。だが恵には勇気が出せなかった。糞尿まみれが何か投げてくる。
直井が叫んだ。
「ウンコ投げつけてくるうー!」

とまあ、いつものように淡々とあらずじを打ち込んでますがね、こんな調子ですよ全編。

実はその集落にはマッドサイエンティストがいて、白血病の娘の治療に、謎の寄生虫が劇的な効果を上げることを発見する。その寄生虫は人間を宿主にすると、最後には脳を支配してしまうが、なぜかその娘の脳は侵されなかった。父親は
「これは寄生虫との契約関係なのだ」
と、娘の代わりに、宿主となる人間たちを、提供してきたのだ。
優しい医者だと思い、助けを求めた恵たちは、振舞われたパスタを食べてしまうが、その中には寄生虫のエキスがふんだんに振りかけられており、全員はやがて腹痛とオナラと寄生虫とゾンビの地獄絵図に放り込まれていくのであった。

振り返ってみると「スカゾンビ」はあの便所の1体だけだったな。もっとわさわさ出てきて、ヒロインたちが糞尿まみれにさせられるのかと思ったが。
ウンコねたはそこそこで、あとはひたすらオナラだった。美女がプウプウとオナラしながら身悶えるっていうのを撮りたかったんだね。
寄生されたゾンビたちが、尻から寄生虫突き出して、後ろ向きに襲ってくるとか、宿主となった真希が、長い触手を伸ばして亜矢を縛り上げるとか、このへんはゾンビというより『うろつき童子』入ってる。
あの妹のゴキブリの一件以来、ムシがトラウマで、寄生虫にも腰が引けてた恵が、それを克服するための戦いに身を投じるのが後半の展開。


この映画に出てくる女優たちは一人も知らなかったが、けっこう見せちゃってるね。
ヒロインの恵を演じる中村有沙は子供番組『天才てれびくん』の子役出身だそうだが、俺は「ピンポンパン」世代だから、その番組は見たことない。
だが満島ひかりばりの「パンモロ」ハイキックはもとより、おっぱいも見せちゃってるのは、彼女を知ってる人には衝撃なのか。その微乳ぶりも「見ていいのかな」という妙な背徳感に苛まれるな。

真希を演じた護あさなはグラビア出身だそうだが、熱演ぶりは随一だね。汲み取り便所で、お尻丸出しでしゃがんでイキむという、こんな場面演じた女優もいないだろ。

恋人タケが寄生された末に頭爆発して死んでしまい、シャワー浴びながら泣いてる亜矢を、恵が慰めに行く場面。なぜか恵も全裸になって、ふたりで抱き合って泣くんだが、必然性がない。
井口昇監督がレズっぽい場面を入れたいというそれだけの理由だろう。
井口監督は元々AVをやってて、俺も昔はこの人のSODとかシネマジックから出てたレズ物を何本か見てる。
「スカ」要素の入ったものは敬遠した。

映画を撮り始めてからのものは、「女ふたり」ジャンルのインディーズ作品『クルシメさん』が面白かったね。矢崎仁司監督の、伝説のレズ映画『風たちの午後』のような肌合いだった。
2006年にはレズの聖典ともいえる谷崎の『卍(まんじ)』の映画化に挑んでるが、これは期待はずれだった。
井口監督にしてはキレイすぎる。
『卍(まんじ)』は4回映像化されてるが、1997年の坂上香織が出たVシネ版にも、エロさの面で負けてたと思う。

昨年の「ラテンビート映画祭」で見た、スペインのコメディ『トレンテ4』もたいがい
「オナラとキン●マとオッパイ」
だけで構成されたような映画だったが、日本も負けてない。
とにかく井口昇という監督は、自分の妄想に忠実な映画を作ろうとしてる、その部分において、フェリーニとかと同じ枠に入る人だと思う。

まあしかし「ひなまつり」の日にこんなもんの投稿するのも、申し訳ないというか…。

2012年3月3日

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