ごん太眉のリリー・コリンズがよい [映画マ行]

『ミッシングID』

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ピッツバーグで毎日バカやって楽しく暮らしてる高校生が、学校の授業の課題で、「行方不明児童」のサイトを何気なく調べてたら、どう見てもこれはガキの時分の俺だろうという写真に出くわし、両親のタンスをあさると、奥から写真の子供服とおんなじ物が出てくるに及び、たまらず母親を問い詰めると、私は母親じゃないとあっさり認めちゃうが、でも父親の話もきいてちょうだいと、下の部屋に呼びに行くと、玄関のベルが鳴り、母親が出ると、入管の者だというが、どう見ても怪しいんで、母親ドアを閉めようとすると、ブチ破られて、さあ大変!ということから、本筋へと入ってくわけだ。

育ててくれた両親が本当の両親じゃないとすれば、俺は本当は誰なんだ?という「自分探し」が始めるんで、そのあたり『ジェイソン・ボーン』シリーズにあやかった宣伝で行きましょうってことなんだろ。でもって、「ボーンを期待したら、全然軽かった」とか、あまり評判も芳しくないね。

だが「ボーン」シリーズは、この手のジャンルでは「破格」の出来の映画なんだよ。そんな映画がそうポンポンと誕生するはずない。
できるんだったら、映画に投資する人たちはみんな儲かってウハウハだよ。
映画の世界はそんなに甘くはないのだ。


この『ミッシングID』は、青春巻き込まれアクションとして、気楽な感じで見てやらないといけない。
どの位の気楽さで臨めばいいかというと、80年代の青春スターが主演した、巻き込まれ型アクションを思わせる感触なのだ。
3本挙げてみよう。いずれも1985年近辺の映画だ偶然にも。


1本目は『ランナウェイ 18才の標的』

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ジョン・ヒューズ印の青春映画でお馴染みのアンソニー・マイケル・ホールが主演してる。両親の離婚を機に、兄夫婦を頼ってロスに着いたアンソニーだが、空港で、自分のスポーツバッグを間違えて持ってかれてしまう。
そうとは気づかず、アンソニーは同じ柄のバッグを持ってくが、その中には売人が奪った100万ドル相当の麻薬が。売人はすぐに気づいて、アンソニーを追跡、兄夫婦の家で急襲。巻き添え食った兄夫婦は殺され、アンソニーは決死の逃亡を余儀なくされるという筋立て。
アンソニーの力になってくれる、頼れる美少女ジェニー・ライトが可愛くてね。


2本目はアーサー・ペン監督作『ターゲット』

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80年代「ブラッドパック」のリーダー的存在だった、マット・ディロンが、ヨーロッパ旅行中に、母親を誘拐され、父親ジーン・ハックマンと捜し回る。
その途上で父親が元CIAだったことがわかって、息子びっくりの一席。


3本目は『ガッチャ!』

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『ER』のアンソニー・エドワーズがまだ毛がふさふさの時代に、UCLAのキャンパス内で、ペイント弾使った射撃ごっこに興じる、ボンクラ大学生を演じてる。
こっちのアンソニーは、やはりヨーロッパ旅行中に、マジなスパイ戦に巻き込まれてしまう。


この3本はそれぞれちょっとづつ『ミッシングID』に繋がる要素があるのだ。
兄夫婦が殺されるのと同じように、育ての親の夫婦も殺される。
父親が元CIAでびっくりって所も一緒。
最後の『ガッチャ!』は、アンソニーといい仲になる、チェコ人を名乗る美女が、実はピッツバーグ生まれのCIAエージェントだった。

まあそんな風に共通点が見つかることからも、この映画が「80年代青春映画」フォーマットの巻き込まれアクションとして楽しめる所以となるのだ。俺にとってはだけどね。


この映画の主人公ネイサンには、向かいの家に幼なじみで同級生のカレンがいるんだが、たまたま授業で「行方不明児童」の課題をペアで取り組むように言われ、カレンはネイサンの家を訪れた時に、ネイサンの母親が凶弾に倒れる瞬間を目撃してしまう。
恐怖で動けなくなってると、男に捕まり、銃を突きつけられる。その時ネイサンが男に飛びかかり、どこでそんな術を覚えたのか、格闘の末、男を組み伏せる。

男は「オーブンレンジに時限爆弾があるぞ」と言い、ネイサンとカレンが確認した時は残り5秒。
庭のプールに二人でダイブした直後に、ネイサンが住み慣れた家は、木っ端微塵に吹っ飛んだ。


ここから先はひたすら逃げるという展開だ。女子高生のカレンが、命の危険にさらされながらも、ネイサンのそばを離れないというのは、現実的ではないが、これでいいのだ映画としては。
だって「青春」だからだ。

ネイサンを演じるテイラー・ロートナーは、俺は『トワイライト』シリーズの1作目をDVDで見たきりなんだが、彼はネイティヴ・アメリカンの血を受け継いでるんだってね。
ルー・ダイヤモンド・フィリップスを超えるスターになれるだろうか?
実際に空手の達人だそうで、格闘場面の体の切れはマット・デイモンに負けてない。

俺が目が行ったのはカレンを演じるリリー・コリンズの方だけど。フィル・コリンズの娘なのかあ。
さかんに眉毛の太さが語られてるが、眉毛いいじゃないか。可愛かったよ彼女。
あの眉毛が個性であって、似た顔が多い、最近のハリウッドの若い女優たちにはないチャームを持ってるってことだ。彼女が白雪姫演じてるターセム監督の新作もインパクトありそうだな。

80年代は太い眉毛は普通だったよね。デミ・ムーアしかり。
『スター・ファイター』っていう憎めないSFに出てたキャサリン・メアリー・スチュアートって女優も、見事なゴン太眉だったし。

アムトラック車内での格闘も見応えあるが、クライマックスの舞台となる、ピッツバーグ・パイレーツの本拠地、PNCパークで本当の試合中に撮られたという、見せ場は臨場感たっぷりだ。
『瞳の奥の秘密』のサッカー・スタジアムの場面を彷彿とさせた。

この『ミッシングID』を見ようと思ったのは、監督がジョン・シングルトンだからということもあった。2005年の『フォー・ブラザース/狼たちの誓い』にはシビれたからね。
あの映画の演出には、自分のルーツを感じさせる舞台設定だったこともあるのか、とにかく熱気がこもってた。ウォールバーグも気合入ってたし。

今回の映画は正直「雇われ感」が漂ってはいる。そつなく仕上げる職人気質の人だけに。
脇にも渋い役者が揃ってるし、映画を長く見てる人間には、それなりに楽しみ所は見つかると思う。

2012年6月18日

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