スター男優たちをボコりまくるジーナ・カラーノ [映画ア行]

『エージェント・マロリー』

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TOHOシネマズで見たが、入り口でチケット渡したら、「マロニーちゃん」のタイアップ販促物「エージェント・マロニー」100gをもらった。ちゃんと袋に映画のスチルがプリントされてる。
失礼ながらあまりヒットしてる形跡もないので、この販促物はコレクターズ・アイテムになるかも。ならないかも。

女殺し屋の映画としては、ちょっと先行して『コロンビアーナ』が公開されてたから、「またかよ」的な印象も否めない。
だがこちらの主役はプロの格闘家ジーナ・カラーノだ。
といっても俺は知らなかったが、とにかく最近のアクション映画にありがちな、アクロバティックな格闘演出を避けて、彼女の格闘家としてのスキルを見せようという演出になってる。
女性でありながら、パンチや蹴りが重そうで、関節技も熟知してるようだ。
体格も男に見劣りしない。


映画冒頭の田舎のダイナーで、チャニング・テイタムといきなり肉弾戦。
その描写から、ジーナ・カラーノの肉体の強さを見せつけられる。
だがリアリズムで行こうというわりには、淹れたてのコーヒーを顔に浴びせられるマロリーが、戦いが終わったあとも平然としてられるのは解せない。
顔は火傷に近い状態になってるんだから、冷やすなりの応急処置を施さなければ、車の運転などできないだろう。熱湯に強い皮膚なんて鍛え方はできないはずだ。

そのダイナーに居合わせた地元の青年スコットを店から連れ出し、彼の車を(強制的に)借りるマロリー。
「買ってまだ2週間なのに」と不安一杯のスコットを助手席に乗せ、マロリーは店での格闘に至る経緯を話し始める。そういう構成になってる。


マロリーは危険な仕事を請け負う、フリーランスの女性秘密工作員だ。
仕事はユアン・マクレガーが演じる、民間軍事企業のオーナー、ケネスから発注される。
トラブルの元となったのは、バルセロナでのミッションだった。

監禁されてる中国人ジャーナリストの奪還を依頼され、チャニング・テイタム演じるアーロン他2名と動いた。
奪還は成功し、その身柄はケネスに仕事を依頼したスペインの政府関係者ロドリコに引き渡した。
アントニオ・バンデラス演じるロドリコは、マイケル・ダグラス演じる、アメリカ政府の高官コブレンツと繋がっていた。

ミッションを成功させ、サンディエゴの自宅に戻ったマロリーを、ケネスが訪ねてきた。
英国諜報機関「MI-6」から依頼された仕事があるという。
マロリーとケネスはかつては恋人同士だったが、マロリーはもう仕事上の関係も清算しようと思っていた。
だが「バカンスみたいなもんだから」と懇願され、しぶしぶダブリンへと飛んだ。

目印となるブローチをつけたマロリーは、現地で諜報員のポールと接触。
マイケル・ファスヴェンダー演じるポールと、新婚夫婦を装い、フランス人実業家スチューダーの動向を探るというもの。
だがこれはマロリーを罠にかけ、殺人の濡れ衣を着させるための筋立てだった。


映画の中で女優は彼女ひとりで、その周りを名のある男優たちが固める。
その中でジーナ・カラーノと格闘に及ぶのは、チャニング・テイタム、マイケル・ファスヴェンダー、ユアン・マクレガーの3人だ。
チャニングは肉体派だからいいとして、他の二人は優男だろう。
まあファスヴェンダーはフルボッコが似合うマゾ体質なんで、
「今度もやってくれたなあ」と思いながら見てたけど。
ユアン・マクレガーなんか弱っちくて可哀相になってくる。

やっぱり相手にも一人くらいはプロを出しちゃどうだったのか。
これだと「ハリウッドスターたちが、美貌の女格闘家にボコられたい」
って願望を実現させたような、一種のSMプレイみたいに見えてしまうが。

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ストーリーラインとしては、ありがちだし、目を見張るほどのアクション場面があるわけじゃない。
だけど退屈はしない。
ハラハラするというより、心地よく見てられるのだ。

それは監督スティーヴン・ソダーバーグならではの手つきに拠るもの。
彼は今回も例によって別名義で撮影監督も兼ねており、体温の低そうな画面の質感と、デヴィッド・ホームズの、ジャズやラウンジミュージックの要素を巧みに取り入れたスコアが、「乗り心地のよさ」を体感させてくれる。

近年のアクション映画はどれも似た印象を受けてしまうんだが、それは手振れバリバリのカメラとか、スタントとCGの組み合わせ具合とか、そういった演出上のトレンドという以外に、コンポーザーの音楽表現が、似たりよったりのものばかりだという事も大きい。

対して『アウト・オブ・サイト』以降、度々ソダーバーグの映画を手がけてるデヴィッド・ホームズの音は、例えばマイケル・ケインの『狙撃者』の、ロイ・バットのスコアとか、ラロ・シフリンがつけた数々のアクション映画のスコアを彷彿とさせる。
ちょっと古風で渋いのだ。

マロリーが警察の狙撃隊に追われて、ダブリンの町を逃げ回るシークェンスは、描写としては尺を取りすぎてる気もするんだが、デヴィッド・ホームズの変化に富んだ、軽快なスコアを聞けるんだから、しばらく逃げててくれていいよ、と思いながら見てたのだ。


ジーナ・カラーノは、格闘家という体つきはしてるが、「ゴツい」という印象はさほどなく、若い頃のレネ・ルッソみたいだ。
演技はどうこうというものではなく、ソダーバーグもそこは期待してないだろう。

『ガールフレンド・エクスペリメンツ』の時も主演にポルノ女優を起用していて、やはり感情の起伏を表に出さないようなキャラクター設定にしてた。
今回もジーナ・カラーノには、とにかく動いていてくれれば絵になるという、そういう演出で臨んでる。

彼女はこの後、『ワイルド・スピード』のシリーズ第6弾への出演と、
女性版『エクスペンダブルズ』への出演が内定してるようだ。
他に暴れる女性キャラが居る中で、どの程度目立てるのか、真価が問われるのはその時だろう。

2012年10月4日

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