牧口雄二・東映カルト3連打① [牧口雄二監督]

『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』

d0118.jpg

東映ビデオがここ最近、レアなアーカイブのDVD化に積極的になっており、まことに喜ばしい限りで、その中でも「最終兵器」とも呼びたい、牧口雄二監督のカルト映画3作を早速購入。
『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』と『徳川女刑罰絵巻・牛裂きの刑』は「ラピュタ阿佐ヶ谷」で見てるが、『戦後猟奇犯罪史』は初見だ。

この『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』は上映時間69分!というのも素晴らしいが、その中に一分の隙もなくエログロが詰まってる。

「牛裂きの刑」での拷問長崎奉行が凄かった汐路章演じる女衒の弥多八に騙され、年期が明けてるのに、別の宿場に売られそうになった女郎のおみのは、隙を見て逃亡。現世の縁が断ち切れると噂の尼寺・愁月院を目指すが、途中の山道で二人の猟師に犯されてしまう。
ほうほうの体で寺の門前に倒れこむおみのを、庵主の桂秀尼は温かく迎え入れる。
愁月院には庵主のほかに3人の尼僧と、無表情で口をきかない少女お小夜がいた。
屏風には地獄絵図が描かれており、尼僧たちも一癖ありそうだった。

おみのが迎えられた翌日の晩、一組の男女が寺の門を叩いた。駆け落ちしてきたという。
庵主は手厚くもてなし、部屋を与えた。二人はその晩愛し合って眠ったが、女が目を覚ますと、男の姿はない。
庵主から、男は出て行ったと聞かされるが、信じられない女は、おみのと一緒に男を探す。
だが彼女たちの前には、大きな鍋に切断した肉を放り込む、遺体処理人の作造が。
「けさ、大きな猪が獲れたでな」
と言うが、女は絶叫したまま走り去り、後に寺の中庭で首を吊っていた。
おみのは、この寺の人間の仕業にちがいないと庵主を責めるが、皆シラを切るばかりだ。

そんな中、おみのを追って、弥多八と手下の亀が寺にやってくる。
「おみのを出せ!」とずかずかと境内に入りこみ、たちまち尼僧たちに捕まり、縛り上げられる。
おみのは、今までの恨みを、尼僧たちの手を借りて、存分に弥多八にぶつけた。

愁月院の奥の庭には、ケシが栽培されており、尼僧たちは毎夜アヘンを吸っては享楽に身を委ねていた。
おみのは庵主・桂秀尼からアヘンを手ほどきされ、同時に庵主の指がおみのの体を這い回り、快感の淵に落とされていった。
庵主はこの寺に入る前に、男に手酷い仕打ちを受けており、
「呼び寄せた男たちはすべて生贄に捧げるのです」
などと言ってる。
弥多八と同じようにおみのを追ってきた、あの猟師たちも、尼僧たちの餌食となり、喉笛を食いちぎられた。
作造も仕事が忙しかった。

おみのがすっかり尼僧たちの世界に染まりそうになってる時、ひとりの男が門前に現れた。
おみのが逃亡中に握り飯を恵んでくれた町人だった。
「ここにきちゃ駄目!」
だがおみのが男を追いかえそうとした時、庵主が男に声をかけた。
町人の男は寺に招き入れられた。おみのは
「ここは殺人尼寺だから、隙を見て逃げ出して」
と言うと、男は自分は実は代官所の隠密で、この寺を調べに来たのだと言う。
その言葉にホッとしたおみのは、いつしか男と抱き合っていた。

目を覚ましたおみのは、隠密の男を探すが、そこには首のない全裸死体が転がっていた。
叫びながら土間へと駆けていき、桶の水を飲む。だが桶の底には隠密の生首が。おみのは失神する。


ここから先は、おみのが尼僧たちに復讐を仕掛ける展開だが、
尼僧たちのアヘン踊りのサイケな味付けとか、
寺の本堂でのキャットファイトとか、
弥多八の手下の亀を演じる佐藤蛾次郎が、年増の尼僧おとくの、母乳窒息攻撃に没したりとか、
本堂の観音開きがバーンと開いて、ラスボス登場かと思いきや、
ミイラの仏が仁王立ちして、そのまま炎上しちゃうとか、
もう見せ場しかないのだ。

男嫌いの庵主が仕切る尼寺だから、レズシーンがあるのは必然だが、年増のおとくはそれには絡まず、ひたすらテンション高い祈祷を繰り返してるのが可笑しい。

おみのを演じる田島はるかは俺は初めて見るが、たぬき顔で可愛らしいが、脱ぎっぷりはいい。表情も豊かに熱演してた。
川谷拓三とともに「ピラニア軍団」の一角を担った志賀勝が、遺体処理人・作造を演じてるが、もうスレスレの役作りでコメントしずらい。DVDのジャケに顔が出てるが、あんな悪党顔じゃない。第一「白塗り」だし。

この映画の中で一番印象的なのは、口をきかない少女お小夜を演じた佐藤美鈴という子役だ。
この尼寺の狂態ぶりをつぶさに見つめてるという役柄だが、撮影中もつぶさに見つめてたんだろうか?
映画では最後にお小夜が炎上する本堂の中で初潮を迎えるんだが、本人は出来上がった映画を見せてもらえなかっただろうね、その当時は。
最初の方で、おみのの足抜けを手伝おうとして、捕まって嬲り殺される男を小林稔待が演じてた。

2012年3月9日

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。