ジャネット・マクティア容赦ない [映画ラ行]

『レッド・バレッツ』

レッドバレッツ.jpg

ツタヤの会員カードの更新期限が近づいてるんで、久々に店に行って、何枚か借りてきた。これは新作の未公開アクションの棚に置かれてたが、ジャケのアートワークは『RED』の丸パクだ。他にもそういうのがあったな。
何年か前の『ソウ』も同じだったが、便乗したくなるアートワークが、たまに出てくるんだね。
これも内容もパチモンのように思えるが、俺は以前にこの映画のトレーラーを見て知ってた。
原題は『CAT RUN』という、けっこうバジェットのかかってるアクション映画だ。

借りた理由は一点のみ、『アルバート・ノッブス』を見て以来、ひいきにしてるジャネット・マクティアが出てるからだ。しかも凄腕の女殺し屋という役だ。それこそ『RED』のヘレン・ミレンに喧嘩売るような気合の入り方だが、あの映画ではヘレン・ミレンもさすがにご高齢で、それほど活躍したわけじゃなかったが、こちらのジャネット・マクティアの、血も涙もない暴れっぷりは半端ない。見せ場のほとんどを彼女が持ってってる。


モンテネグロのとある豪邸で開かれた秘密パーティに呼ばれた高級娼婦のカタリーナ。そこのオーナーは武器商人のヤコヴィッチで、メインの招待客は、米国国防長官のクレブだった。さっそくクレブは二人の娼婦を伴って部屋に行った。だがクレブには女の首を絞めながら挿入するという性癖があり、本気で絞めすぎて一人を殺してしまう。もう一人の娼婦はパニックを起こす。騒ぎが邸内に広まりかけた時、すべての部屋の様子を監視してたボディガードが動いた。口封じのため、邸内にいた娼婦たちを射殺して回る。
カタリーナはそのどさくさに紛れて、監視モニターの映像を記録したディスクを盗み出して逃げた。

カタリーナは海沿いの小さな食堂に電話を借りに入った。そこは若いアメリカ人の料理研究家アンドリューの店で、まるで流行ってなかった。親友のジュリアンも同席してたが、カタリーナは電話を借りた後、テーブルにあった車の鍵と、ジュリアンのケータイを失敬して行った。二人は気づいて後を追ったが、車は走り去ってしまった。
同じ頃、ディスクを盗んで逃げたのがカタリーナだと目星をつけた、ボディガードのカーヴァーは、その道のプロに連絡を取った。
やってきたのはヘレン・ビンガムという名の、中年の英国女だった。
彼女の仕事は表向き「失踪人捜査」だが、その実、元英国諜報部のスパイで殺し屋だった。

ヘレンは仕事を始めてほどなく、カタリーナの「商売」の仲介人である男が、ルクセンブルグにいることを突き止める。男はライダーといい、麻薬売買も行っており、その事務所には屈強なボディガードがいたが、ヘレンはたちどころに射殺し、ライダーを拷問にかける。
ライダーに口を割らせ、聞き出した情報から、カタリーナには赤ん坊がいて、その面倒を見てる彼女の友達がいることを知る。

一方、ジュリアンは経営がさっぱりなアンドリューに、探偵事務所を開いてひと儲けしようと持ちかける。二人はポルノ映画館の2階に格安で事務所の物件を借り、手始めに、車を盗んでったあの美人を探すことにした。
カタリーナの残した手がかりを元に、モンテネグロからイタリアの古都フェラーラへと向かう二人。
だが二人がカタリーナの友達の家に辿り着いた時、すでにヘレンによって拷問を受けた後の友達はこと切れていた。そして傍らには赤ん坊が。
アンドリューとジュリアンは赤ん坊を抱えて、モンテネグロのホテル・スプレンディドに居ることがわかったカタリーナと会うことに。だがその場にはヘレンも向かっていた。


この前半のジャネット・マクティアの殺しっぷりがね。
仲介人への拷問というのが、椅子に縛りつけて、まず手の指を1本1本切り落としていく。さらに下半身をむき出しにさせてイチモツも切り落とす。タマも切り落とす。
最後には「殺してください」と丁寧に言わせて、首の骨を折る。
カタリーナの女友達の場合は、歯にドリルを当てるという、『マラソン・マン』のオリヴィエの技を踏襲。だが同じ女性ということで、それ以上エグいことはせず、「これで静かに死ねる」と、大量のモルヒネを注射する。
カタリーナと長く音信も途絶えてる父親がスペインで養豚業を営んでるんだが、必要な情報を取ると、その場で頭を撃ち抜く。
ホテル・スプレンディドで、ついにカタリーナたちと顔を合わせることになるんだが、丁度ホテルでマジック大会が開かれるんで、大勢のマジシャンが居合わせてる。
ヘレンはそんなことおかまいなしに撃つんで、マジシャン二人巻き添え死。
逃げる3人を追ってさらに撃つんで、顔を出したホテルの清掃係の女の子、頭に銃弾受けて巻き添え死。
いや殺すねしかし。

結局3人には逃げられてしまい、カーヴァーはヘレンを見限る決断を下す。死人が多く出て騒ぎが広まり、ヘレンも色々知りすぎた。
カーヴァーは、ヘレンの車に爆弾をしかけるが、ヘレンはそれを察知していた。
ここからジャネット・マクティアの後半戦の殺しが始まるよ。

レッドバレッツジャネット.jpg

まず爆弾を仕掛けたカーヴァーの手下を殺す。カーヴァーはヘレンに代わる殺し屋を雇っていた。スコットランド訛りがきついショーンという名の殺し屋は、3人と赤ん坊が逃げ込んだホテルを急襲。カタリーナたち3人に銃を向け、殺す前にカタリーナにフェラを強要する。
だが向かいの建物の窓から、ショーンのうしろ頭に照準を合わせてるヘレン。亜音速弾という特殊な弾丸を撃ち込まれたショーンの頭は、スイカのように破裂する。

それまで3人の命を執拗に狙ってたヘレンが、なぜ自分たちを助けたのか?だが真意はともかく、今はヘレンの言う通りに動くしかない。
ヘレンは3人を一番安全そうな場所に匿うことにした。イギリスの田舎町にある彼女の母親の家だ。
ヘレンは家の戸を叩く前に、カタリーナたちに念を押した。

「私がタバコを吸うことと、殺し屋であることは内緒だからね」


ジャネット・マクティアが悪役から一転、ヒロインを助けに回る役どころになって、それでも撃ちまくり、殺しまくりは変わらないんで、もうとにかく彼女のための映画といってもいいね。

男装で演じた『アルバート・ノッブス』で、アカデミー助演女優賞の候補に上がった彼女は、なにか自分の役者としての方向性を見つけたのかもしれない。それまでは180センチを超えるという、女性としては目立って大柄であることが、コンプレックスになってた部分があったんじゃないか。
今回の役でも、何か吹っ切ったような感じを受ける。

ヒロインのカタリーナを演じるのは、スペインのフェロモン女優パス・ベガなんだが、やはり食われちゃってるね。
映画全体としても、アンドリューとジュリアンという若い二人の場面はコミカルな演出が施されてるんだが、マクティアが殺しまくるもんで、どういうテイストにしたいのか、ちぐはぐ感が拭えない。
この若い二人の役者がキャラが弱すぎるということもある。

監督のジョン・ストックウェル自身も、俳優時代は、今いちキャラの弱い青春スターだったしな。
監督になってからは『ブルー・クラッシュ』『イン・トゥ・ザ・ブルー』『ブラッド・パラダイス』といった、「オーシャンかつリゾート」なロケーションを好んで撮ってる。

この映画もアドリア海を中心に、ヨーロッパ各地をそれほど意味もなく転々とロケして回ってるんだが、やっぱり観光気分もあるのかな。
俺のようなマクティア・ウォッチャーでもない限り、あまり印象には残らん映画だろう。

2012年3月18日

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