さっさと医者に診せろという話 [映画マ行]

『メランコリア』

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最初のカットの「どウツ」な表情のキルステン・ダンストのアップが、もうウィリアム・フォーサイスにしか見えないわけだよ。以前から似てるとは思ってたけどね。
キルステンはとても奇麗に見える時と、ブサイクな時と両方ある、俺にとっちゃ「面白い女優」の一人なんだが、ちょっと気を抜くとウィリアム・フォーサイスになっちゃうんだよな。
「そりゃ一体誰だ?」ってことだよねえ。
一番目立ってたのはセガール映画『アウト・フォー・ジャスティス』で、セガールの幼なじみにして、キレたら止まらない町の悪党かな。あとは『サンタモニカ・ダンディ』の堅物FBI捜査官とか、『デビルズ・リジェクト』の、殺人鬼一家より狂ってる保安官とか。
まあそれでもピンと来る人も少ないだろうね。
言っとくけど男優だから。

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その彼女のアップから10分弱くらいは、イメージ映像的な画面が続く。
これはラース・フォン・トリアー監督の前作『アンチクライスト』の冒頭部分や、森の中の描写などに見られた撮り方だ。地球の終末を思わせるような不吉な美しさに満ちていて、この映像だけで全編やり切ってくれてもよかったのに。『ツリー・オブ・ライフ』の冒頭部分に通じるものがあるね。

その映像が明けると、あとはウエディングドレスの花嫁キルステンが、リムジンが森の狭い道に阻まれ、披露宴に2時間遅刻した上に、花嫁自身がどんどん気分が不安定になっていき、姉夫婦の邸宅で催された披露宴を台無しにしてく過程が、正直グダグダと綴られてくのだ。
グダグダだがキャストは豪勢だな。
姉がシャルロット・ゲンズブールで、その夫がキーファー・サザーランド。
披露宴の顔ぶれには、ステラン・スカースガードにウド・キア、ジョン・ハートにシャーロット・ランプリングまで。
ちなみにキルステンの夫には、ステラン・スカースガードの長男アレクサンダーが。あんまり似てないな親子。
ヴィゴ・モーテンセンに似た感じだよ、むしろ。

キルステンは邸宅に着いた時にふと夕暮れの空を見上げ、サソリ座の赤い星アンタレスに目を止める。
なにか気になるのだ。夜になりダンスに興じる招待客たちと離れ、邸宅の正面に広がるゴルフコースにしゃがみ込む花嫁は、そこで放尿。
またアンタレスを見上げてる。

姉のシャルロットは、時間刻みで披露宴のアトラクションを決めてたんだが、ケーキ入刀の段になっても、キルステンは風呂に入って出て来ない。
ここまで押しに押してるんだが、招待客もウド・キアを除けば、みんなキレずにその場に居るのは偉いねえ。
というか、こういう披露宴のアトラクション形式というのは、日本特有のものと思ってたんで、意外な気もした。
ちょっと目を離すと、姉の子供のベッドで一緒に寝たりしてるし、キルステン明らかに具合悪いよな。
多分姉のシャルロットは、それも妹の我がままな行動くらいにしか思ってないようだが、本人が足元おぼつかないとか言ってるんだから、医者に連れてけよ。

体調悪いだけじゃなく、キルステンは広告代理店でコピーライターの職にあるんだが、招待した上司を罵倒する言葉を吐いて、披露宴の場でクビ確定、上司のステラン激怒して退場というひと幕も。
その間にも、夫を差し置いて、披露宴の客の若い男と青姦かましてます。もう無茶苦茶だよ。


『アンチクライスト』もこの『メランコリア』も、監督のラース・フォン・トリアーが「ウツ」を患ってる状態の中で撮った映画という。
「ウツ」な自分をキルステンに投影してるんだろうが、「ウツ」は病気だから、なってみないとわからないし。
身体に痛みがある病気なら、言われれば、その痛みの見当くらいはつくだろうが、痛みがあるわけじゃないからね。よく「ウツ」になると、体がだるくて、気力もなくなるとか、楽観的に物事が考えられなくなるとか、症状は聞くけど。
それでいうと俺なんか、普段のテンションがごく低めだし、だるくて気力が湧かないなんてことはしょっちゅうだし、映画以外のことは基本面倒くさいと思ってるし、明日できることは今日やらないって性分だし、でもそれは「ウツ」ではなくて「ズボラ」なだけなんで、そこの違いが実感としてわからない。

乱暴に言ってしまえば、この映画は
「もう自分ウツだし、世の中どーでもいいし、惑星にドカンとぶつかってもらって、
地球終わってもいいんだけど」
という心情の映画なんでしょ?
俺は困るんだよ、そんな簡単に終末来てもらっちゃあ。まだ見たい映画は沢山あるんだし。

映画の中ではキルステンの不調を、惑星メランコリアの地球接近のせいと見えるような描き方もされていて、披露宴の夜に気になってたアンタレスは、空から消えてしまってる。
披露宴をブチ壊したキルステンは、その7週間後に、また姉夫婦の邸宅にやってくる。
「なんでお前がくるかな」という感じだろうが、しかも前より体調悪くなってるっぽい。
支えてもらわないとまともに歩けないんだが、その割には乗馬はできるのだ。馬に乗って森へ入って、ふと空を見上げると、今や月よりも大きくなった、惑星メランコリアを目にする。
そのまますっ裸になり、メランコリアの光を浴びて陶然となるキルステン。
シャルロットが彼女を風呂に入れようとする場面でも、キルステンは裸を晒している。

意外とたわわなおっぱいについて、そこここで「おっぱい、おっぱい」と語られてるようだが、おっぱいはどうでもいいんだよ。俺は足フェチなんだからさ。
『プリンセス・トヨトミ』のコメントでも、走る綾瀬はるかの揺れるおっぱいのことばかり語られてたが、おっぱいはどうでもいいんだよ。俺は足フェチなんだからさ。

まったくとりとめもない内容もないことをグダグダと書き綴ってしまったが、映画がグダグダしてるんだからしょーがない。監督には「早く病気治せよ」と言っとく。

2012年3月19日

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