ジャスミン・トリンカのすきっ歯がよい [映画ア行]

『イタリア的、恋愛マニュアル』

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「イタリア映画祭」以降、なにやらイタリアづいてるが、『輝ける青春』のジャスミン・トリンカが出てるということと、2月に劇場で見てコメント入れた『昼下がり、ローマの恋』の「恋愛マニュアル」シリーズ第1作目と知って、見ようと思った。2005年作で、日本では2007年に公開されてる。
4話のオムニバス構成。1話ごとに登場人物の年齢が上がってくのも、シリーズの決まりのようだ。


1話目「めぐり逢って」

ジャスミン・トリンカは1話目に出てる。
スクーターで職探しに奔走するも、不採用続きで金もないトンマーゾ。おまけに黒猫に道を横切られる。縁起が悪いと文句言ってると、飼い主のジュリアが出てきて、途端にひと目惚れ。
だがジュリアは飼い猫を悪く言われ「なにこの人」な印象。

次の日、その黒猫をダシにジュリアの家を訪ねる。仕事先に送ってもらう女友達が来れないんで、トンマーゾは彼女をスクーターで送ることに。ジュリアは通訳兼ツアー・ガイドをしてた。
ケータイの番号を聞くが、ジュリアは嘘を教えた。ガイド中のジュリアにわけを聞くトンマーゾ。
「あなたのこと嫌いなの」
ふつうはこうはっきり言われれば諦めるんだろうが、イタリア男は押すねえ。めげずに正しい番号を聞き出した。

電話するけど居留守使われる。そこで友達のケータイから電話。つながったということは、明らかに敬遠されてるってことだが、イタリア男は押すねえ。
「友達と映画行くから」と会うのを断られると、ジュリアの自宅前で待機。男と帰宅しキスして別れる様子を見てる。改めて電話。すぐ後ろに居ると知ったジュリアはそりゃ怒るわ。
「あんたストーカーなの?」
ここまで言われたらねえ。だがイタリア男は押すねえ。
「あれは元カレなんじゃないか?」
「人は淋しいと未来へ進まずに、過去に戻ろうとする」
こいつ何テキトーなこと言ってんだと思ったら図星で、不意をつかれたジュリアそのままキスへ。

デートの約束とりつけ、映画に行こうと言うが、ジュリアは食事がいいと。
トンマーゾにそんな金はない。
だが海辺で姉がリストランテをやってる。どういう見栄の張り方か、姉には他人の振りを装えと言うが、ウェイターが簡単にバラす。
だが姉の子供をあやすトンマーゾを見て、ジュリアは優しいとこあるじゃないと、心が動く。
「嫌い」と言われようが、男は「押し」の一手というお話。

ジャスミントリンカイタリア.jpg

特典のインタビューで、トンマーゾ役のシルヴィオ・ムッチーニが「ジャスミンは悲劇的な役が多かったけど」と語ってる。
たしかに『輝ける青春』ではほとんど笑顔を見せなかったんで、彼女が「すきっ歯」だとは、この映画で初めて知った。歯並びがあんまり良くないんだが、俺が中学の時好きだった女の子も歯並び悪かったけど、可愛かったのを思い出した。


2話目「すれ違って」

倦怠期の夫婦マルコとバルバラの話。夫マルコの人物像がリアルに描かれてる。
妻のバルバラは夫婦の間に刺激が欲しいと思って、いろいろ提案をするが、マルコはすべて否定から入る。こういう人いるよね。
バルバラは夫の食べ方が下品になってることも耐えられない。昔はちがったと。
マルコは妻が外出してくれると、一人気兼ねなく過ごせると思ってる。子供も欲しいと思わない。
こんな夫婦、一緒に居る必要あるのかね?

バルバラは一人で出向いた妹の誕生パーティで酔いつぶれ、他の男と勢いでキスしてしまう。
連れ帰りにきたマルコにそのことを話し、
「ちょっと嫉妬したでしょ」と満更でもないが。


3話目「よそ見して」

2話目のバルバラのように、キス止まりじゃなくなる展開。
職務に熱心な婦人警官オルネッラは、夫が浮気するなどと夢にも思ってない。だが子供の学芸会の舞台裏で、ウサギの着ぐるみ脱いだ夫ガブリエーレが、女性教師と熱いキスを交わしてるのを目撃。
その怒りは交通違反の車へと向けられた。

町中でレッカー移動が始まる。
浮気相手の車を見つけると、こまかいイチャモンつけて違反切符切りまくり。
ガブリエーレが浮気を謝っても
「あんたは人間失格よ!」
「人間じゃないなら俺はなんなんだ?」
「あんたはカビよ!カビ!」
人間から一気に隔たったもんだな。

婦警を演じるルチャーナ・リッティツェットのまくしたて演技がオモロイが、多分イタリアでは有名なコメディ女優なんだろうな。
結局オルネッラも、同じアパートに住むイケメンのニュースキャスターと浮気かまして、夫とも丸く収まる。って収まるか!ふつう。


4話目「棄てられて」

9年間連れ添った妻に、いきなり家を出ていかれた小児科医ゴッフレードの話。
演じてるのが『昼下がり、ローマの恋』で、女ストーカーに散々な目に合わされるニュースキャスターを演じて、俺も爆笑させられたカルロ・ヴェルドーネだ。
シメに持ってくるだけあって、このエピソードが一番長い。

『昼下がり…』でベッドインする時にネコ真似をさせられてたが、この映画でも淋しさ募ってつい看護婦と一線越えちゃう場面で、彼女からイヌ真似してと言われてた。
あのギャグには伏線があったんだな。

1話目の「人は淋しいと未来へ進まずに、過去に戻ろうとする」という言葉通りに、ゴッフレードは昔の写真を慰めに眺めつつ、学生時代のマドンナと再会してみることに。
待ち合わせのリストランテで、それらしい女性が見当たらずケータイを鳴らしてみると、目の先のテーブルで丸々としたご婦人がケータイに応えてる。思わず身を隠して厨房から逃げ出すゴッフレード。

俺は『昼下がり、ローマの恋』のコメントでカルロ・ヴェルドーネは、ウーゴ・トニャッティを思わせると書いたんだが、このリストランテのくだりとそっくりなのが過去にあった。


1980年の伊・仏・英合作のオムニバス『サンデー・ラバーズ』で、4話目に昔プレイボーイだった男が、妻が帰省してる間に、ふと昔の彼女たちを訪ねようと思い立つエピソードがあり、それをウーゴ・トニャッティが演じてたのだ。
絶世の美人だった昔の彼女を訪ね、ドアを開けたその顔を見て、次の場面では階段を猛スピードで駆け下りてく音だけが響く。そこが一番笑った記憶がある。

ゴッフレードの妻は結局戻る気持ちがなく、失意の彼は海岸に車を飛ばし、服のまま海に浮かんで、ただ波に揺られてる。翌朝海岸で目覚めると小さな女の子が体をつついてる。
その女の子の家が、1話目のトンマーゾの姉のリストランテということで、姉とゴッフレードが知り合いとなる。

これという秀逸な描写があるわけじゃないが、誰にでも起こり得る人生の厄介事を、深刻にならずにスケッチしてくのは、ラテン系のなせる技かも。

2012年5月13日

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