アシュレイ・ジャッドのタイトスカート [映画ハ行]

『フライペーパー!史上最低の銀行強盗』

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都内では渋谷「シネクイント」1館でのレイト公開という、「首の皮一枚」繋がったような劇場公開作だが、これを見に行った理由は「アシュレイ・ジャッドが出てるから」という、その一点買いだ。

また便乗タイトルかと思いきや、『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』の脚本家が書いた新作なんで、このタイトルを名乗る権利はあるわけだ。

いつもシネコンのレイトを見に行くと、客が4,5人なんてザラだから、これも閑散としてるんだろうなどと、勝手に想像してたが、上映前には30人位は入ってたよ。立派なもんだ。
『ハングオーバー!』効果なのか、主演のパトリック・デンプシーという、『クレイズ・アナトミー』効果なのか。
劇中一番笑ったのは、そのデンプシーに
「愛は金では買えないんだよ」
ってセリフを言わせてる所。
彼のファンなら元ネタはすぐにわかるだろう。


転職してきて2ヶ月目という、窓口係のケイトリンの前に、100ドル紙幣を小銭に両替してほしいという、妙な男トリップが現れる。
両替の仕方をコインごとに正確に暗算して告げる。しばらく聞いていたケイトリンは、
「そのコインの枚数ってすべて素数よね?」
と返す。トリップは「銀行窓口」とはいえ、ケイトリンの数字の強さに驚く。

トリップは彼女を気に入り、なにかと話しかけようとする、その時、閉店間際だった銀行内に、武装した強盗が押し入ってきた。

5人いるが、明らかにタイプが二分してる。3人は完全武装し、マスクもしてるから顔もわからない。
サブマシンガンのような銃器を手に、SWATなみの出で立ちだ。
あとの二人は明らかに「ちょっと銀行でも襲う?」くらいの軽い乗りで銃を手にしてる。

行内は、行員も客も騒然となるが、一番動揺してるのは、2組の強盗たちだった。
しかもその騒ぎのさなかに、ロビーにいた男性が何者かに撃たれて死んだ。強盗たちは互いに
「撃っちゃいない!」
と言いあってるし、しまいには互いに銃を向け合った。

その緊迫の場面に、なぜかトリップが、ノコノコと間に分け入った。
「とりあえず、ちょっと集まろう」

肝っ玉がデカいのか、バカなのか、強盗たちは呆気にとられるまま、結局トリップの回りに集まった。
トリップは強盗たちの狙う物を聞いた。
武装3人組は、奥にある金庫を、カジュアルな2人組はロビーにあるATMを壊すつもりだった。
トリップは言った。
「金庫とATM、互いに狙うものが違うんなら、揉める必要はないよね?」
「ここは、気にせずにそれぞれの仕事をしたらどうだろう?」

なんでテメエがしゃしゃり出てくるんだよ!とトリップはボコられるが、まあそれも一理あるということで、強盗たちはそれぞれの持ち場につくことに。


強盗発生とともにセキュリティが作動し、外に通じるすべてのドアがロックされ、銀行は巨大な密室となった。
行員と客はひと部屋に集められた。
支店長とマネージャーを差し置いて、ここでもトリップが場を仕切り始める。
ケイトリンは「何者なの?」と見つめてるが、トリップは、数字の暗算のほかにも、並外れた観察力を持ってるようで、強盗発生時の銀行ロビーの様子を事細かく再現できた。

まるで「シャーロック・ホームズ」かのような、トリップの推理力により、ロビーで男性を撃ったのは、強盗たちではなく、まだ誰か銃を持った人間が行内に残ってる可能性が出てきた。

トリップは部屋の天井に、ダクト用の天蓋があるのに気づき、周りが止める声も聞かずに、天井に昇ろうとする。
そんな時、ATM狙いの二人がやらかした。ピーナッツバターとジェリーと呼び合う2人組は、いきなりATMにプラスチック爆弾を仕掛け、1台が爆発。何事かと強盗勢揃い。
「予告もせずに爆破すんじゃねえ!」
とまた一触即発に。

しかし2組の銀行強盗が、同じ日に、同じタイミングで強盗に入るなんて偶然があるのか?
トリップはその謎についても推理を働かし始めた。
そして強盗たちの断片的な発言などから、2組の強盗が同じ情報によって、計画の実行に動いてたことがわかる。
この日、銀行ではコンピューター・システムの入れ替えが行われる予定で、新たなシステムに移行するまで「空白の2時間」が生まれるということだった。
つまりその間はセキュリティも含め、すべてのコンピューター制御が無効になる。
強盗たちはその2時間を狙ってやって来たのだ。

だがその情報が自分たち以外にも流されていたことは予想外だった。
そして彼らに情報を流した者こそが、この銀行強盗劇の真の目的につながる存在であり、それは意外な立場にいる人物だった。

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『ハングオーバー!…』の脚本家の映画というんで、多分見に来た人はコメディ乗りを予想してたんだろうが、けっこう死人が出るんだよね。気楽に笑ってみようとするには血生臭い。
テンション高めの芝居でどんどん局面を進めてくが、落ち着いて考えると粗も目立つ。

俺が一番の疑問だったのは、黒幕の存在があるのはいいとして、「FBI最重要手配犯」リストのトップに挙がってるような人間が、映画の真相となるような立場に、どうやって就いてたのという点だね。

武装強盗の3人組の方は知ってる役者がいなかったけど、ピーナッツバターとジェリーを演じる2人は脇でよく見かける。
長髪にヒゲのピーナッツバターを演じるティム・ブレイク・ネルソンは、『オー・ブラザー!』が出世作だが、ホントに曲者という演技。そのバカっぽさが最高だ。

武装強盗側の人間に「俺のタトゥーはすごいんだぜ」と見せるんだが、腕の外側に鎖が描かれてて、その内側には鎖が切れてる様子が描かれてる。腕をひっくり返しながら
「捕まえられると」「思うなよ」
「捕まえられると」「思うなよ」
と何度も繰り返してイラっとさせてる。そこの場面は場内爆笑だった。
相棒の太っちょジェリーを演じるプルイット・テイラー・ヴィンスとともに、この二人がコメディ・リリーフとして機能してた。


さてお目当てのアシュレイ・ジャッドだが、まず俺は彼女のファン歴は長い。

1995年の東京国際映画祭で上映された『聖なる狂気』で初めて見て、可愛い顔なのに、目の下に荒んだ影を感じる、そのアンバランスに惹かれたのだ。

彼女が注目されるきっかけになったのは、1993年のインディーズ作『RUBY IN PARADISE』で、俺は輸入版取り寄せて見た。
夫との生活を捨て、祖母が暮らした海沿いの町で、新たな人生を送ろうとするヒロインが、どうにもうまく行かなくて、どんどん「負けていく」過程がシビアに描かれていた。
いい職に就けたのに、そこの女性オーナーの息子に言い寄られ、結局辞めることになり、町から離れた、白人女性などひとりもいないクリーニング工場で働くようになる。
全編ヒロインの日常を追うような作りで、アシュレイを愛でるための映画といっていい。

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輸入版買ったこの映画は、後にメジャー主演作『ダブル・ジョパディ』の公開時に、どこかのメーカーが便乗してリリースしたが、『ディープ・ジョパディ』などという、まったく意味の通らない邦題にされてて泣けた。

そのアシュレイも1999年の『ダブル・ジョパディ』あたりをピークに、その後は目立った役に就けていない。彼女は今年44才になるが、この『フライペーパー!…』では、胸元もあらわなブラウスで勝負してる。
俺の好きなタイトスカート履いてくれて、さすがの美熟女ぶりだ。

彼女を好きなのはルックスだけでなく、声質というか、その口調だ。
低めで落ち着いた調子で、きっぱりと言葉を発する。なんというか「たしなめられてる」感じがする。
俺は例えばメラニー・グリフィスみたいな舌足らずな口調は苦手で、「たしなめ」系にグッときちゃうのだ。
日本でいえば夏川結衣だね。

この映画でも銀行窓口の対応の口調がきびきびしてて、そこんとこはやっぱり好きだなあ。
なんか彼女が出てる割にはそんなに見せ場がないのも不満ではあるね。
彼女のもう1本の新作『イルカと少年』も、DVDがリリースされたから、早速見てみるつもり。

2012年6月30日


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