3Dで見たいものを見せてくれたか? [映画サ行]

『3D SEX&禅』

セックスアンド禅.jpg

行って来ましたよ「シネマート新宿」に。原作となる『肉蒲団』は、中国では『金瓶梅』に並び称される官能文学であるらしい。
以前同じものを映画化した『SEX&禅』に、スー・チーが出てるというんで見たんだが、もうどんなだったかほとんど憶えてない。


筋を要約すると、主人公は清王朝の若き学者の「未」で、彼はひと目惚れのすえに、美人でつつましやかな玉香を妻にめとるが、なにしろ未は、ルックスはまあいいとして、モノが短小で、しかも早漏ときてるから、玉香に性の満足を与えてやれない。

そこで性の奥義を会得すべく、断崖の洞穴に築かれた「絶世桜」に足を踏み入れる。
そこは無数の男女が営みに酔いしれる「SEX虎の穴」の如き場所だった。

楼主の寧王は、未を鼻であしらう素振りだったが、絵心のある未は、楼にかかる絵に贋作があることを見抜き、寧王はその眼力を認め、滞在を許可した。
「絶世桜」に集う女たちは、抜群の性技を誇り、未は奥義を得るどころか、太刀打ちもできない。
おまけに短小ぶりを笑われる。しかしこれでは引けない未は、この楼に時折姿を見せるという、
「極楽老人」に直訴して、性の奥義を伝授してもらおうと思った。

「極楽老人」は、禅と陰陽道により性の道を究める仙人のように語られたが、実際に未が目にしたのは、妖艶な美女だった。だが声はオヤジのだみ声だったが。
「極楽老人」は性の奥義を伝授する代わりに、してもらうことがあると言う。

この「絶世桜」のどこかに、皇帝の免罪符である「丹書鉄券」があるはず。
それを盗んでこいと言うのだ。
だがその言葉に従った未の行動は、楼主の寧王に知れることとなり、未は一転、性の奥義から「生き地獄」を味わうことになっていく。


女優は日本から原紗央莉と周防ゆきこ。上海出身のレニー・ランと香港のボニー・ルイが出てるが、俺が顔知ってるのは原紗央莉だけだったので、あとの3人はどの役なのか実は怪しいのだ。
多分、未の妻の玉香がレニー・ランで、「極楽老人」を演じてるのがボニー・ルイと思う。
周防ゆきこは初日舞台挨拶の中で、「宙づりSEXで死ぬかと思った」みたいな発言をしてたから、寧王お気に入りの刺青美女の役だろう。

この4人の女優がみんな奇麗なのには感心した。それぞれ濡れ場があるが、肌もおっぱいも美しい。
「キワモノ」ジャンルではありながら、やさぐれた雰囲気が画面から漂ってこないのは、女優選びや衣装や美術などに、目配せがされてるからだろう。

女優たちは惜しげもなく脱いでくれてはいるが、3Dで「ボヨヨ~ン」て場面は意外とないぞ。
原紗央莉が画面に向かって「山本リンダのポーズ」をする指先なんかは飛び出してるが、「そこじゃないんだがな」と観客は思ってただろう。
ボカシも入ったりはしてるから、描写そのものは、香港映画としちゃ気張った方なんだろうけど。

俺の期待としては「中国四千年の秘技」みたいなアクロバティックな、「雑技団的エロ」が見れるかと思ったんだが、けっこう生真面目に「突いて突いて」ばかりなんで、こういう題材を扱うわりには、監督がそれほどスケベな人ではないんじゃないかと思ったよ。

正直その単調さに、映画の半ばあたりでは「落ちてたり」したんだが、後半になって、楼主の寧王が未を拷問にかけたり、妻の玉香まで引っ張って来て、未の面前で犯したりという、暴虐の限りを尽くすあたりで、映画も活気を取り戻してくる。
それとて牧口雄二監督作に比べれば、まったく手緩いけどな。


それと同時に寧王の振る舞いを察知した王朝側の役人が、警察隊を送り込んでくる。
寧王はすご腕の護衛たちに対処を任せる。
護衛たちは剣や刃物で、銃を持つ警察隊と渡り合う。

3Dでナイフやら銃弾やらが飛び交うんで、この辺になってくると
「エロはどこへいったの?」とPPMのように問いかけたくなる活劇仕立てに変貌してる。
それはそれで面白いんだけど。

主役の未を演じてるのは、京都出身で、香港映画界でキャリアを積んでる葉山豪という人。
中国の古典の映画の主演に日本人俳優が起用されるのも意外だが、映画の中で早漏だったり、短小だったり、しまいにはそのイチモツを切り取られたりと思えば散々な扱われようだが、そんな日本人を、中国の観客はニヤニヤ笑いながら見てたなんてことはないんだろうか?

あと映画の中で、未が師匠と仰ぐ老僧が出てくる。
50年以上も煩悩と無縁の毎日を送ってるんだが、原紗央莉が委細構わずに攻めてくるもんだから、なんとか「色即是空、空即是色」と唱えて気を紛らわそうとするんだが、あえなく彼女の手管に落ち、すっきりしてしまったため、「悟りに達するにあらず」と自殺してしまう。
この老僧が井手らっきょにしか見えなかったのが、ちょっと心苦しかった。

AVを見慣れた日本人には刺激も足らんだろうが、そういう興味ではなく、そうだな熱海の秘宝館を覗いてみたというような、そんな心持ちで見に行くとよいかもしれぬ。

2012年7月20日

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